現場の観察でニーズを探る
――黒河さんは、来場者のニーズを把握するためにどのようなことを行っていますか?
一般的なリサーチなども行いますが、我々のオフィスが館内にあることもあり、実際に来場しているお客様の反応を見ることが多いですね。パレードやショー、アトラクション、フード、グッズ、イベントなどを体験する姿を見ることで、直接お客様の動向や反応を見ることができますから。
――毎日現場で利用者の観察ができるというのは、特徴的ですね。
館内を回ればお客様の入り具合もある程度わかりますし、お客様と近い距離であるのはマーケティングの担当者としては、とても良い環境だと思っています。

――観察をもとに得られた仮説をもとに、パークの改善を行っていくかと思います。その中で、来場者を増やすために意識していることはありますか。
特に意識しているのは、お客様にSNSで投稿してもらえるようなスポットやコンテンツを用意するということですね。我々目線でコミュニケーションをしていくよりも、お客様目線の投稿のほうが拡散しやすいですし、理解されるからです。
――先ほどお話に出たカレーの話も、以前友達のSNSの投稿で見たことがあり、とても印象的でした。
たとえば、フードでも、「カレーのルーの色が今までにない」「味が気になる」といったツッコミどころを作ることで、興味喚起につながりますよね。そのようなこともコミュニケーションだと考えています。
PRと広告を目的に合わせて活用
――ちなみに、御社から広告やPRといった施策は行っていますか。
予算が限られているので毎日ではありませんが、 GoogleやFacebook、Twitter、LINEなどでの広告配信を行っています。特に、夏休みなどお客様が来場しやすい時期には力を入れています。PRに関しても、メディアが取り上げやすいネタを考え、プレスリリースの配信などを行っています。
――様々なプラットフォームを活用して広告を配信しているとのことですが、各プラットフォームでターゲットの違いはありますか?
Twitterは若年層、Facebookは社会人など多少メディア特性が見えるので、その点を踏まえて地域を絞った配信を行っています。一方、Googleの広告では、比較的広いターゲットに対し配信しています。
――広告はそこまで予算が大きくないとのことですが、そうなるとPRのほうに力を入れているということですか?
どちらかに極端に力を入れているわけではありません。広告にもPRにもメリット・デメリットがあると思うので。個人的な考えですが、広告はリターンが予測しやすく、PRは効果が予測しにくいが大きなリターンが返ってくるというイメージがあります。
たとえば、広告で100万円かけたら100万円に近いリターンが返ってくる可能性が高い。一方、PRは100万円かけたものが500万近いリターンにもなり得るが、まったく話題にならず効果がゼロに近いこともある。
ですので、広告で一定の成果は上げつつ、PRでチャレンジングなネタを用意してお客様に来ていただく機会を作るようにしています。
