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MarkeZine Day 2025 Retail

「リアル店舗×デジタルマーケティング」の最前線

EC化率43%のナノ・ユニバースが、今「リアル店舗」を重視する理由

ECにチャットを導入した結果、リアル店舗での売り上げが増加

原嶋:ナノ・ユニバースさんは元々、店舗を持ちながらも、ECにかなり注力されていましたよね。

越智:ナノ・ユニバースが設立された2000年代前半は、「商業施設のなかで、いかに良い場所をとるか」というのが、リアルで勝つための大前提でした。でも、僕らのような後発のブランドは、なかなかいい場所がとれなかったんですよね。そんな時に「ZOZOTOWN」が登場して。先発・後発関係なく、平等な空間で戦うことができるECの世界がとても魅力的に映ったんです。現在は自社ECサイトも開設し、チャットを使った接客にも注力しています。

原嶋:ECのチャットによる接客と、店舗における接客には違いがあるのでしょうか?

越智:どんどん近づいてきていて、今ではあまり変わらなくなってきていますね。チャットに対するお客様の期待も大きくなってきていて、「これって僕に似合いますかね?」「サイズ合いますかね?」という、店舗同様のコミュニケーションを求める方も増えています。

原嶋:チャットで答えるのはかなり大変そうですが……(笑)。

越智:はい(苦笑)。ただ、スタッフもチャット接客に慣れてきて、「普段どのくらいのサイズを着ているんですか?」「身長、体重は?」と聞いていき、だんだんとEC上でも理想のサイズを提案することが可能になってきています。お客様にとっても、顔が見えない「デジタルによる接客」だからこそ聞ける・答えられる質問もあると思います。

原嶋:確かに。気になるけど聞けない、ということは店舗においてよくあることですよね。

越智:実は、チャットによるおもしろい数字がありまして。チャット導入後、ブランド全体の売り上げは伸びてきているのですが、そのうち4割が店舗での売り上げでした。つまり、チャットで接客をした結果、お客様が店舗に来てくれるようになったんです。この結果は、ただ店舗に行くための手間をかけたということではなくて、非常に強い段階をデジタル上で踏んだうえで、リアル店舗へ送り込むことができるようになったということです。

店舗の役割、ECの役割

原嶋:なるほど。チャット上で店員に直接聞きづらいことは質問しておいて、あとは店頭で実際に試着してみるだけ、という状態に持っていけるわけですね。チャットでの接客は、店頭スタッフと連携しているんですか?

越智:CRM上ではできています。ただ、店舗スタッフが自由にそのデータを閲覧できるようにするにはまだ問題があるので、そこは次のフェーズと考えています。

原嶋:将来的には、チャットで来店予約まで行うという世界になっていきそうですね。

越智:実は一度実験的に試してみたことがあるのですが、当社の「お客様第一主義」に反していると思い、やめました。お客様にとって、「事前に情報を知られていること」がいいことなのかというと、実はそうではない。店頭スタッフにとっては、事前にお客様の情報を知れるのは嬉しいことなのですが、お客様にとっては、実はまったくハッピーな体験ではない。これは最近のデジタルマーケティングにおいて、共通の落とし穴なのではないでしょうか。

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EC化率43%のナノ・ユニバースが、今店舗を重視する理由

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この記事の著者

原嶋 宏明(ハラシマ ヒロアキ)

Patheeマーケティングマネージャー。大学卒業後Webディレクション、プロダクトマネージャーを経験。前職で動画制作プラットフォームCrevoの立ち上げを経験。現職ではマーケティングから組織構築、広報まで幅広い領域を担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/01/21 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30103

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