ブラックリストを事業者間で共有するメリットは?
MZ:今回の取り組みによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
二宮:まず、広告主にとってのメリットが大きいですね。アドフラウドを排除できれば、広告予算を無駄に消費する機会が減ります。広告効果も正しく計測できるので、予算配分の最適化が進むはずです。
アドネットワーク事業者は、より広告効果を伸ばすことができると思います。あと、SpiderAFユーザーとしては、SHARED BLACKLISTの規模が大きくなれば分析ログも増えるので、SpiderAF側の分析精度も向上していくだろうなと期待しています。
山田:各社のブロック判断基準を統一できるようになるので、広告主やパブリッシャーから見ても基準がわかりやすくなるはずです。そうなればステークホルダー全体の理解度が高まって、アドフラウドに関するコミュニケーションコストが下がるのではないかと思います。
大月:お二人の話に出たメリットが享受されれば、業界の健全化にもつながります。有益な情報はどんどん共有していくべきです。そのため今後、SHARED BLACKLIST参加企業のエンジニアに向けた勉強会なども開催し、アドフラウドを防ぐ技術の共有も進めたいと思っています。
正直、他のアドベリフィケーションツールやアドフラウド対策ツールを提供している企業同士でも協力していくべきだと考えているので、業界関係者はどんどん巻き込んでいきたいです。
広告のエコシステムを正常に
MZ:今後の展望を教えてください。
大月:先に話した通り、今後はより多くの企業に参画いただきたいので、どうすればその流れを加速できるか模索しているところです。
2018年は2017年に比べて、より高度なアドフラウドが増えてきています。そのため、単純なロジックでの対策には限度があると感じています。SHARED BLACKLIST自体もまだ完成しているとはいえないので、各方面に協力いただきながら成長させ、業界に貢献していきたいですね。
二宮:これまでの広告業界は数値至上主義になりすぎていたんだと思います。モラル含めて、今のやり方を見直す時期に来ているのかなと。ただ、どうしても事業者同士で推し進めるのもなかなか難しい。その中でPhybbitさんのような会社が入ってくれると非常にありがたいです。今後もSHARED BLACKLISTをより推進できるよう、当社もできるかぎり協力したいと考えています。
山田:SHARED BLACKLISTが、広告事業者だけではなく広告主や媒体社も参画できるような仕組みになるといいなと考えています。
今は広告配信業者が導入し、判断基準を統一させることを直近の目標にしていますが、広告主や代理店も巻き込んで、広告に携わる事業者全体で、正しい広告を配信できる環境作りに取り組んでいければもっと良くなるはずです。
大月:山田さんがおっしゃっているように、関係者全員が協力して広告業界のエコシステムを正常に戻し、皆が損をせず、正しいところに正しいお金が流れるような世界を作りたいです。
MZ:皆さんのお話から、アドネットワーク事業者とPhybbitのアドフラウド撲滅に対する本気度が伺えました。我々も引き続き、SHARED BLACKLISTをはじめ広告業界の健全化に向けて動く各社の動向に注目したいと思います。ありがとうございました。
アドフラウドの現状を明らかに
今回のSHARED BLACKLISTをはじめ、アドフラウド撲滅に向けた取り組みを行うPhybbitが、1月31日に調査レポートを発表しました。同レポートは、直近のアドフラウドに関する動向などが理解できる内容となっています。ぜひ最新の状況を理解して、自社が取るべき対策を考えてみてはいかがでしょうか。詳細はこちら