店舗はマーケ部門が統括 外部パートナーも活用
「プロフィットセンター」になるための次のステップは、組織作りである。サンリオでは、2018年5月に「中期経営計画」と同時に「Marketing Innovation Project 2021」を発表。マーケティング組織を再編成した。

具体的には、ほぼ社長直轄となるマーケティング本部を新設。横串の組織となるよう、デジタル統括部、キャラクター推進部、そしてブランドエクスペリエンス統括部の3部門で構成した。部署の名前にもこだわりがあるという。
「ブランドエクスペリエンス統括部、というのは覚えられない名前かもしれない。でも大事なのは、この名前を読めば、組織が担う内容がわかることです。ブランドを体験することに関してはここが仕切るよ、と書いてある。責任の所在が明確になるのです」(木村氏)
組織改革の特徴は、リアル店舗の開発や改装をマーケティング本部が担うようにしたことだ。店舗に関する業務は従来、物販事業部やリテール事業部が請け負っていた。しかし木村氏は次のように考え、そのあり方を変えた。
「お客様がいちばんサンリオらしい経験をしてもらう、最大のタッチポイントはお店です。お店が変わらない限り、サンリオのブランドは絶対に変われません」(木村氏)
また、ブランド戦略を担うセクションには、営業を支援する人員を配置。立てた戦略を資料化し、営業にも同行する。木村氏は「商品を十分に理解していて、戦略について語れる人が一緒に行く。BtoBでは当たり前に行われていることですが、サンリオにはありませんでした」と振り返った。
さらに、組織にマーケティングを確実に根付かせるため、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)として、常任の外部パートナーを配置。各施策に紐づく代理店やオウンドメディアのベンダーではなく、プロジェクトを回すために配置された人員だという。
「去年までやっていなかった新しいプロジェクトを、現在10個ほど回しています。これを納期までに達成できるようにするには、回すだけの人というのが必要だと考えています」(木村氏)
他にも、戦略のプロフェッショナルとしてクー・マーケティング・カンパニーの音部大輔氏をアサイン。外部との交渉事に強い人材や、データベースの管理ができる人材も招き入れているという。