クリエイティブの感性は守りつつビジネスはデータドリブンに
「eSports統括本部を皮切りに他部署へもどんどん横展開し、最終的には会社の意思決定の判断材料として貢献できる仕組みにしていきたい」と赤沼氏。データドリブンな組織構築を推進する一方で、カプコンを築き上げてきたクリエイティブの力は尊重したいと話す。
「ゲームクリエイターの皆さんは、これまで、ユーザーのデータを見ながらゲームを作ってきたわけではありません。クリエイター自身の感性や創造力で作品を作ってきて、その作品が国内外で高く評価されています。ですので、クリエイティブはデータを意識しすぎず、基本的にはこれまでと変わらず感性を大事にして自由に取り組むべきだと思います。
ただ、たとえばですが、ソーシャルリスニングを通して発見された「バグ」や「システム上のネガティブな意見」などは、すぐに改善対応を図るなど、データも使い方次第で顧客体験を高められると思っています。それに、ユーザーさんからのポジティブな感想はクリエイターのモチベーションにもつながりますし」(赤沼氏)

カプコンのようにクリエイティブが根源となっている企業の場合、データ分析に振り切り過ぎた場合のリスクもある。これまでユーザーの心を掴んできた作品群は、必ずしもマーケティング的な視点で作られたものではなく、クリエイター自身の創造力を発揮して生み出されたものだ。とはいえ、ビジネスを拡大していく上では客観的な視点も欠かせない。データドリブンな側面とクリエイティブな側面、双方を両立していくため、カプコンの挑戦は続く。