可能性が無限にある飲料のマーケティング
――加藤さんがデジタルマーケティングを担当しはじめた2010年代前半は、ネットメディアやサービスの成長が著しい時期でした。
そうですね。私も次第に、プロモーションの反応が数字で見えるデジタルマーケティングのおもしろさに目覚め、楽しくなっていきました。情報システム部での経験から、エンジニアやWeb制作会社とのやり取りにも慣れていましたし、いわゆるアドテクも抵抗感なく扱えていきました。もっといろんな施策に挑戦したいと思いはじめていたところ、再び異動の時期がやってきました。まだまだデジタルマーケティングに身を投じたいと思っていたところ、キリンのデジタルマーケティング部の求人を知ったんです。
調味料はレシピと一緒に訴求することが多く、当時は費用対効果が良いメディアや施策が限られていてジレンマがありました。一方、アルコールやソフトドリンクなどの飲料では、コンビニや自販機とお客様とのタッチポイントが多く、プロモーションの可能性も幅広い。キリンがデジタルへ注力するというタイミングとも重なり、運が良かったと思います。
――キリンでは、どのようなお仕事を担当されてきましたか。
入社して2年間は、Ready To Drinkと呼ばれるRTDカテゴリーのブランドと、クラフトビールブランドのデジタルマーケティングを担当しました。これまで印象的だったのはちょうど発売15周年を迎えた氷結®での施策です。氷結®のブランドマネージャーと一緒にコミュニケーションプランニングを作成し、その中のデジタル領域の設計・運営・フィードバックなどを担当しました。デジタルだけでなく、テレビCMや交通広告など、他のメディアとデジタルを連動した施策を行い、SNSでも多く話題にしていただいたり、評判を聞くことができたのはとても良い経験になりました。
この経験を活かし、デジタルにとどまらず、メディアの垣根を越えたコミュニケーションプランニングをするというのはいつも意識しています。クラフトビールブランド「グランドキリン」では、ファンとブランドが直接つながる関係作りを重視しました。ブランドの熱狂的なファンが集うコミュニティ「びあのわ」の運営や、さらにコアなファンの皆さまと「ビール×陶芸」「ビール×農業」などのリアルなイベントを企画し、実施しました。商品やブランドのファンの人とお会いする機会はなかなかなかったので、直接商品に対する愛情を語っていただけるのはとても貴重でうれしい経験でした。
その後、産休と育休を経て、2018年5月に復帰しました。

デジタルマーケティングは顧客のLTVを上げる
――現在注力されている業務は?
プラズマ乳酸菌配合の「iMUSE(イミューズ)」ブランドのデジタルマーケティングを担当しています。このブランドも、ワンチームでマス・リアル・デジタルの統合的なコミュニケーションプランニングを行っています。
テレビCMや交通広告などマスでのコミュニケーションだけでなく、ファンの方を大切にし、さらにファンを増やす施策としてiMUSEアンバサダープログラムをスタートしました。これらの施策は今後も継続を検討していて、時代に合ったコミュニケーション設計ができていると手応えを感じています。
また、キリンビールの公式SNSアカウントの運用も担当しています。Twitter・Instagram・FacebookとそれぞれのSNSに合わせた投稿内容を考えることはもちろんのこと、商品を取り上げるだけでなく、キリンの企業好意度を向上するための企画なども実施しています。
――デジタルマーケティングに問われる、施策と売り上げの関係についてはどのように考えていますか。
デジタルマーケターの悩みと言われる“売り上げへの貢献”、いわゆる「それで売れるの?」問題(笑)ですよね。もちろん、売上につながる・貢献できることを常に意識してメディアのプランニング、施策を心がけています。また、クーポンキャンペーンや他社とのコラボ企画など、営業が取引先へのセールストークとなるような施策も行っているというメッセージも伝えていますね。
特にSNSについては社外の方を含め、関係者とKPIを明確にしています。デジタルマーケティングで企業好意度が上がることは、お客様のLTV向上につながります。その影響による、売り上げ・事業貢献を常に意識しています。