アドビ システムズは、Adobe Experience Managerの最新版「Adobe Experience Manager 6.5」を発表。これに合わせ、新機能を説明するラウンドテーブルを実施した。
同社のプロダクトエバンジェリスト 兼 シニアコンサルタントである安西氏は、会の冒頭で、企業と顧客のタッチポイントが増えていることに言及。46%の消費者が同時に複数のデバイスを利用した経験があり、接触媒体数が多いほうがブランドへの信頼度が高まるという調査結果を示した。これは、複数のタッチポイントにおいて、統合された顧客体験を提供することがいかに重要かを表している。
一方、デバイスをまたぎ一貫した体験を提供することは、企業にとって簡単なことではない。一つのプロモーションを実施する場合、Webサイト担当者、アプリ担当者、デジタルサイネージ担当者と、各デバイスごとに担当者が分かれていることが多いからだ。このため、クリエイティブが統合されていなかったり、デバイスごとにタイムラグが発生したりしてしまう。
また、コンテンツの配信には、クリエイティブ担当者やコンテンツディレクター、配信担当者、承認者など多くの人が関わっている。現状では、メール添付やファイル共有サービスを利用し、コンテンツ配信までのやり取りをすることが多く、手間や時間がかかっているケースが多い。
さらに、チャネルの増加やパーソナライゼーションへの対応に伴い、取り扱うコンテンツの量は増加。こうした中でマーケターには、より迅速にアセットを作成し、より多くのキャンペーンを展開しなければならないというプレッシャーがある。
こうした企業の課題を踏まえ、今回発表された「Adobe Experience Manager 6.5」には、「Webサイト、アプリ、デジタルサイネージを含めすべてのデバイスにおけるコンテンツを一括で管理する。これにより、コンテンツ配信までのワークフローを最適化し、コンテンツを市場に投下するまでのリードタイムを縮小する」という考え方があると安西氏は説明。
具体的には、「Content Velocity:コンテンツの制作・管理ワークフローの改革」「Fluid Experience:Webだけではないコンテンツ配信」「Experience Intelligence:AIを活用したコンテンツ管理」という3つのテーマに基づき、以下の新機能が発表された。なお、新機能のリリースは4月の予定だ。
【Content Velocity】制作部門との連携を強化する「Adobe Asset Link」
Adobe Creative Cloudのデスクトップアプリ(Adobe Photoshop、Adobe Illustrator、Adobe InDesign)からAdobe Experience Cloudに直接アクセスし、アセットのプレビューや排他制御による編集、検索、コレクションへのアクセス、メタデータの参照などが可能になる。
【Content Velocity】アセットの更新やフォルダの同期を容易にする「Desktop App」
専用のデスクトップアプリケーションからAdobe Experience Manager上のアセットの操作が可能に。これにより、ローカルでアセットを編集してAdobe Experience Managerヘアップロードしたり、閲覧、検索、プレビュー、関連付けられたアプリケーションで開いたりすることができ、作業が効率化される。
【Fluid Experience】ヘッドレス配信を実現する「Content Services」
従来のHTMLベースに加えて、ヘッドレス形式での配信を可能にすることで、アプリやサイネージなども含め統合されたデジタルコンテンツの管理を実現する。
【Fluid Experience】SPAでのオーサリングを実現する「SPA Editor」
近年採用が増えてきているSPAの配信に加えて、オーサリング環境でも対応することで、SPAを含めたコンテンツ管理を可能にする。
【Experience Intelligence】スクリーンサイズに動画を最適化する「Smart Crop for Video」
縦型の動画メディアも増えてきたことで、様々なスクリーンサイズに対応する動画が求められている。「Smart Crop for Video」では、Adobe Senseiにより、動画の最も重要な部分を自動的に特定し、縦横比が異なるコンテンツを効率的に切り出す。
【Experience Intelligence】アセットの効率的な検索を実現する「Visual Search」
Adobe Senseiにより、行動、属性、対象物ごとにインテリジェントなタグ付けを行うことで類似したアセットを容易に検索できるようになる。
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