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MarkeZine Day 2019 Spring

サブスクリプションに欠かせない4つの要素とは?/NewsPicksらが語ったデジタル時代の体験価値


最適なユーザー体験を提供するための運営体制

西井:次に、「『モノ』から『コト』へ」というテーマでお話を伺いたいと思います。たとえばオイシックスは、食材宅配だけではなく、その先の「食卓を作ること」をビジョンとしています。お二人が携わっているサービスもこの「コト」を提供することをビジョンとしていますよね。

 「コト」ビジネスを展開していく場合は、サービスを支える組織の体制も「モノ」ビジネスのそれとは異なると思います。まず「NewsPicks」では、どのような体制でサービスを提供していますか?

菊地:「NewsPicks」で配信するコンテンツは、外部パートナー様からの提供と編集部によるオリジナル記事で構成されています。

 オリジナル記事の作成においては、ユーザー視点に立つことはもちろん、「誰に読まれるか」「このユーザーにはどんな記事が必要か」などを総合的に判断し、記事の構成などを考えています。すべてのユーザーに届けるというよりも、特定の層に深く刺さるような記事を継続して発信していくほうが、ユーザーコミュニティ全体の満足度が向上するという仮説を持っています。

西井:新規会員獲得に強い記事と継続率の維持・向上に有効な記事とで、それぞれデータ分析を行っていると聞きました。

菊地:そうですね。たとえば、有料会員への転換率のみを記事の評価軸にしてしまうと、既存ユーザーの満足度を損ね、解約につながってしまうことになりかねません。行動履歴をはじめとしたユーザーのデータをコンテンツづくりに反映させることは、デジタル時代特有のメリットだと思います。

サブスク的思考は「モノ」づくりにこそ求められる

西井:久保さんは、「コト」ビジネスを運営する組織について、どのようにお考えですか?

久保:僕は、「『モノ』から『コト』へ」とは、UIからUXに移ることだと考えているんです。UXを提供するサブスクリプションの組織は、「ユーザーにとって最適なUXは何か」がチーム内でしっかりと共有され、カスタマージャーニーを納得して理解していることが前提になると思います。

 その他に、「CLAS」を運営する上で大切にしているのは、家具の自社製作です。最適なUXを提供するために必要となる製品は、万人向けの売り切り製品とは異なります。インダストリアルデザイン(工業意匠)を重視してくださっている方とのネットワークを活かし、サブスクリプションに適した製品の企画・要件を考える体制構築を心がけています。

西井:「CLAS」では、実現すべき顧客体験が共有されているため、サービス運営やモノづくりにも一貫した姿勢が浸透しているんですね。では、最後にお二人の今後の展望を聞かせてください。

菊地:パーソナライゼーションの精度向上を目標にしていきます。「『NewsPicks』を見れば、自分に合った経済情報とその読み方がわかる」と思っていただけるようなプラットフォームにしていきたいです。

 その一方で、フィルターバブル(情報の抽出が過度となってインプットする情報に偏りが生じてしまうこと)にならないよう、記事の量や内容のバランスにも気を配りたいと考えています。こうしたことに取り組むことで、ユーザーにとってストレスのないサービス体験を提供していきたいと思います。

久保:今は家具を中心にサービスを展開していますが、我々の目標は暮らしの中にある課題を解消すること。特に、家電・不動産などの領域では、購入時やライフスタイルの変化にともなうユーザー側の負担がまだ大きいように感じています。こうした領域にも「所有しない文化」を広げ、それぞれの領域にフィットするモノづくりに関わっていきたいです。

西井:「『モノ』から『コト』へ」というテーマで聞きましたが、お二人の話を聞いて「サブスクリプションこそモノが大事だ」ということを感じました。新しくサブスクリプションを始めたいと考えている企業やマーケターにとっても、扱うモノやサービスが、サブスクリプションにフィットするかどうかを見極める視点が必要なのかもしれませんね。菊地さん、久保さん、本日はどうもありがとうございました。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/17 12:54 https://markezine.jp/article/detail/30606

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