テレビCM放送後のユーザー行動を「チャネル別」にストーリー化する
ドゥクラッセの藤原氏は、コンテンツマーケティングのポイントを「ユーザーが購入に至るまでのストーリー設計」と強調。テレビCMによる認知獲得だけでなく、「テレビCMを放送したあとのユーザー行動」を重視し、その行動をチャネル別に設計していった。
たとえば、テレビCM視聴後の検索行動について。テレビCMには、商品名を売り出す目的で「“マジカルサーモ”で検索」のクリエイティブが採用された。その効果もあってか、商品名の月間検索数は大幅に上昇している。
一方、商品名で検索しない可能性も高い。数回のテレビCM視聴では、ブランド名や商品名がわからない可能性も高く、「テレビCMでみたダウンってなんだっけ?」と、「コート」「ダウン」などの一般キーワードによる検索も発生する。また、似たような競合ブランド名や商品名で検索されることもあるだろう。
このように、検索ひとつをとっても様々な行動パターンが発生するため、「チャネルごとにストーリーを描くことが大切」と、月岡氏はその重要性を主張した。
ドゥクラッセでは、テキストやWebサイトだけでなく、SNSや動画、店頭、アプリとすべてがコンテンツであると考え、各タッチポイントの施策を遂行した。たとえば、街頭ビジョンでテレビCMと同様の動画素材を流すほか、テレビCM放映中の店頭ディスプレイにはマジカルサーモを置くなど、施策を連動させた。
ミエルカで関連性の高いキーワードを発見
これら複数のチャネル施策のうち、月岡氏はWebにおける顧客ストーリーのSEO・SEM領域の支援を担当。同領域のユーザーストーリーを、さらに細かく設計していった。具体的には、Web上のオウンドコンテンツの強化を行った。テレビCMによって生まれた潜在層の検索行動から、最適なLPや各サイト、特集ページへたどり着くまでの流れをストーリー化したのだ。そして、このストーリー設計でポイントとなるのが、ユーザーの「検索意図」だ。
「ダウンジャケットと検索するとき、ユーザーは他にどのようなワードを検索しているでしょうか。“ダウンジャケット レディース”のほかに、“人気”、“安い”、“比較”……と様々なキーワードがあります。こうしたキーワードからユーザーの検索意図を読み解いていき、その意図にどう応えるかを考えてコンテンツを制作することが重要です」(月岡氏)
ミエルカは、ひとつのキーワードを軸として一緒に検索されるキーワードのつながりをビジュアル化することができる。
合わせて、商品軸と競合ブランド軸でキーワードをピックアップ。ミエルカの機能を活用して、ダウンジャケットなどの一般名称や、競合ブランドのキーワードを網羅し、どのようなキーワード、つまりユーザーニーズに対応していくかも選定していった。
では、具体的なコンテンツ制作はどのように進めるのだろうか。ドゥクラッセの場合、初めに「40・50代のレディースファッション」「40・50代のコーディネート」などのユーザーの検索ニーズを意識したカテゴリー設計から着手。そこへ、どのようなサブカテゴリーを加えていくかも検索ニーズから設計し、どのようなカテゴリーの役割になるのかを明確にしていく。その後に選定したキーワードごとにコンテンツタイトル案を作成。タイトルが決まったら細かいニーズも考慮して、コンテンツの骨組みである構成案を作成、ライティングに移していった。