重要なのは、誰が「ブランドファン」かを理解すること
では、「ブランドファン」はどのように増やせば良いのでしょうか? 「フォロー&RTキャンペーン」を駆使して母数を増やしてその中から見つけていく、というのも一つの方法ではありますが、まずは「ブランドファン」に対する理解を深めることを推奨します。
当然、人それぞれ多様な趣味趣向・価値観を持っています。こういった集まりを「トライブ」と呼びます。「自社ブランドのファンである以前に、どのようなトライブの方々が多いのか?」を深く理解し、味方になってくれているファンたちの顔をイメージしておくことで、お客様の顔が見えたコミュニケーションも可能になります。そして、近しい趣味趣向・価値観を持った人々を見込み客とした戦略も見えてきます。
「キャンペーンゲッター」の区分け、「ブランドファン」(およびそのポテンシャル層)の人物像、これらを可視化し把握することができていれば、自社がこれから仕掛けるキャンペーンや、新製品のプロモーション全般に対するSNS上の反応(エンゲージメント数)を適切に評価することが可能になります。「キャンペーンゲッター」ばかりが増えているようなら、戦略そのものを見直すという改善も可能になってくるのです。

データと「ファンコミュニティ」をマネジメントする時代へ
デジタルマーケティングの世界では、数年前からDMPがもてはやされ、購買データをはじめとした顧客データのマネジメントが注目されてきました。ですが、ここまで述べてきた通り、筆者はそれだけでは不十分であると考えています。実購買をしてくれている顧客イコール、SNS上で情報のハブとなってくれるファンになるわけでもなければ、UGCを発信して貢献してくれる「ブランドファン」であるとも限りません。
たとえば、商店街のお肉屋さんで、毎日お弁当を買ってくれる多忙なサラリーマンは顧客単価の高い重要なお客様かもしれません。ただ、情報のハブとなってくれる可能性は低い。一方、週に1度だけ訪れて値引き商品しか買わない近所の主婦はサラリーマンほどの顧客ではなくても、強力な評判発信源になってくれているかもしれません。新たな見込み顧客を引っ張ってきてくれる確率は、後者のほうが高そうですよね。
小さなコミュニティではリアルに顔が見えるのですが、ナショナルブランドを取り巻く大きなコミュニティでは当然無理があります。自社を取り巻くSNSアカウントの中身を深掘り、ファンの顔つきや貢献度などを理解し、彼らに対するコミュニケーションを最適化していくことが、また新たなファンを味方に付け、結果的に筋肉質なコミュニティ形成につながっていくと筆者は考えています。