本当に重要な「人」を味方に付けられていますか?
こんにちは。スパイスボックス 事業統括責任者の森竹アルです。その時々の流行に合わせ、各コンテンツがシェアされる理由を分析してきた本連載。過去の記事では、企業プロモーション事例の他、映画や音楽、政治など幅広い分野のコンテンツがソーシャルメディア上でどのようにシェア拡散され、生活者からどのように反応されているのかを解説してきました(前回記事はこちら)。
今回は以前弊社の咲本がご紹介した、ブランドタイプ別にSNS上での話題化を戦略的に実現する方法(詳細はこちら)の中から、「ブランドエンゲージマップ」の左上の象限にあたるzone Bについて掘り下げます。
ソーシャルアクティブ度とブランドスイッチ頻度とは?
・ソーシャルアクティブ度
SNS上でどのくらい話題になりやすいかを表す。各ブランド(著者が任意で選出したメーカー、サービス、アミューズメントなど各業界の主要ブランド)が2017年12月から2018年11月までの1年間にSNS上に投稿したコンテンツの「投稿数」+「エンゲージメント数※」を算出し、その数値を12で割って月間平均値を算出。月間平均値10,000を中央値としている。スパイスボックスのソーシャルリスニングプラットフォーム「THINK」で計測。
※「いいね!」やシェア、コメント、リツイートなどFacebookとTwitterでの総アクション数に加え、対象コンテンツについて取り上げた記事に対するSNS上における口コミなどの総数。数が多いほど、“話題になっている”と言える。
・ブランドスイッチ頻度
SNS上の話題によってどのくらいブランドスイッチが起きやすいかを表す。商材の「価格」と「検討期間」を指標に定義しており、「価格=5万円以内」と「検討期間=1ヵ月以内」を中央値とした。
上部の象限にあたるzone Bとzone Dは、ともにブランドに関する話題が数多くソーシャル上に顕在化しているため、「人」資産を有効に活用した評判形成が重要とご紹介しました。この2つのzoneでは、「人」を味方に付け、常にポジティブな評判形成を維持し、「気になったらすぐ買える」環境を作り続けておくことが重要です。
ソーシャルアクティブ度が高い両zoneの企業の多くは、SNSアカウントを持ってフォロワーを増やし続けてきたと思います。しかしながら、そのフォロワー群はどのような人々か、きちんと理解できていますでしょうか? そのフォロワーは、「気になったらすぐ買える」環境を作るために貢献してくれているでしょうか? ここからは、ブランドスイッチの頻度が多いzone Bに該当する商材を扱う企業事例とともに掘り下げてみましょう。
「フォロー&RTキャンペーン」に成功している企業は
zone Bの象限に当てはまりやすいのは、飲食・飲料・食品・お菓子・コスメといった商材が代表的です。いずれの商材においても、フォロワー数を増やすため、SNS上で自社ブランドの話題量を増やすためといった目的でフォローやRTを促すキャンペーンを各社で頻繁に行われています。以下はこれらの商材を取り扱う企業のTwitterアカウントの中で、キャンペーン投稿に対する平均エンゲージメント数が高いアカウントをランキング化したものです。
この中で最も平均エンゲージメント数が高かったTwitterアカウントは「@Haagen_Dazs_JP」です。フォロワー数約112万で、キャンペーン投稿1回あたりの平均エンゲージメント数が約3.4万なので、毎回約3%のアカウントが反応しています。
平均エンゲージメント率の視点で見ると、最も高いのは「@Pizza_Hut_Japan」。フォロワー数約23万と前者よりも少ないながら、キャンペーンの平均エンゲージメント数は約1.6万なので毎回約7%のアカウントが反応しています。効率面で言うと「@Pizza_Hut_Japan」のほうが良いと言えるでしょう(2018年3月中旬現在)。
先に述べた通り「フォロー&RTキャンペーン」は、飲食・飲料・食品・お菓子・コスメカテゴリにおけるSNS上の常套手段になっています。ですが、このようなキャンペーンを頻繁に行うということは、すなわちブランドロイヤリティの低い人も含めて有象無象のフォロワーを増やすことにつながります。フォロワー数の推移やエンゲージメント数といった数値的視点だけでは、その成果を正確に推し量れず片手落ちとなっているのが現状です。
上記ランキングの中でもエンゲージメント数が高かった「@Haagen_Dazs_JP」と「@Pizza_Hut_Japan」の2つのアカウントに絞ってもう少し掘り下げて見てみましょう。