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イベントレポート

広告接触と購買の結びつきを可視化!ミツカン&花王がクックパッドの活用施策を披露

「SCI」で広告接触と購買の結びつきを可視化

 次に、1億インプレッションバナーの検証結果が披露された。広告接触がどの程度購買につながっているのかを可視化するために、消費者約50,000人の購買データを収集しているインテージのパネルデータ「SCI」 と、クックパッドのデータを連携。クックパッドのユーザー数が活かされ、80%にあたる約40,000人分のIDについて検証することができた。

「SCI」とクックパッドのデータ連携イメージ
「SCI」とクックパッドのデータ連携イメージ

 まず、ターゲットとする30~59歳の既婚女性へのリーチについて、テレビの1,500GRPとクックパッドの1億インプレッションを比較した。

ターゲット層へのリーチ比較
ターゲット層へのリーチ比較

 すると、クックパッドのターゲットリーチは43.5%と、テレビの半分以上のリーチ規模をもっていたことが判明。

ターゲット層におけるクロスメディア分析(リーチ規模)
ターゲット層におけるクロスメディア分析(リーチ規模)

 また、ターゲット層におけるクロスメディア分析では、クックパッドでないとリーチできなかった層が8.2%存在していたことが明らかに。購入率では、クックパッドに接触している人の伸び率が、テレビと比べて大きかったこともわかった。

 セッションの締めくくりには、デジタルを活用したマーケティングの課題が議論された。

 齋藤氏は、デジタルが抱える課題として「売り上げの実感がない」と捉えられがちな点を取り上げ、「1~2億円分の予算が投入され、営業部門の働きかけによって店舗も連動するテレビCMと、200~300万円の予算で施策を展開するデジタルを比較すること自体に、無理がある」と指摘。一方で、デジタル施策を店舗での販促に紐づけづらいことは、大きな問題であると述べた。

 小玉氏も、「デジタルは『効く』というのを営業メンバーに理解してもらうこと」を課題に挙げた。その点では、「クックパッドは使ったことのある人が多い身近な媒体であるため、商談やPOPにもつなげやすい」とメリットを語った。最後に、「今回『SCI』と紐づく効果検証ができたことは、デジタル施策の購入への影響度合いを見るきっかけとしてとてもよかった」と、取り組みを総括した。

花王がデジタルで見つけた新しい購買層

左から、株式会社Moonshot 代表取締役CEO 菅原 健一氏 クックパッド株式会社 マーケティングサポート事業部 部長 齋藤 貴生氏 花王株式会社 メディア企画部 久松 健士氏
左から、株式会社Moonshot 代表取締役 CEO 菅原 健一氏
クックパッド株式会社 マーケティングサポート事業部 部長 齋藤 貴生氏
花王株式会社 メディア企画部 久松 健士氏

 2つ目のセッション「仮説を検証! 勝率を挙げるWebマーケティング」では、花王の久松氏が登壇。「キュキュットCLEAR泡スプレー(以下、泡スプレー)」を、新たな層へリーチするための施策を、齋藤氏とともに紹介した。

 両社は、「台所用洗剤の購入量が多い層ほど、泡スプレーを購入している人が多く含まれる」ことを確認した上で、この層がクックパッド上でどのような検索傾向をもっているのか調査。すると、「離乳食」「1歳」といったキーワードが浮かび上がってきたため、乳幼児をもつ母親を「新たな購買層」のひとつに定めた。

花王「キュキュットCLEAR泡スプレー」の施策一覧
花王「キュキュットCLEAR泡スプレー」の施策一覧

 クックパッドでは、「離乳食」カテゴリーに広告を展開したほか、ターゲティングバナーも出稿。タイアップでは、離乳食のレシピを紹介した上で、泡スプレーの利便性を訴求した。

 たとえば、離乳食を検索する人は日々、赤ちゃんのための食器やストローマグを洗うことが多いと考えられる。こうした食器などの細かい部分を、泡スプレーによって簡単に洗えることをアピールしたのだ。

 すると、広告接触者への任意のアンケートで、93.5%の人が「泡スプレーを使ってみたい」と回答したという。さらに、この数字以上に驚いたことについて齋藤氏はこう語った。

 「購入したお客様が、アンケートに多くのコメントを書いてくださったのです。『便利でした』という声や『離乳食の食器のここが洗いづらくて困っていました』、『使い方を教えてもらって日々のストレスが減りました』という声をいただきました」(齋藤氏)

 施策の目標としていた購買率も、「SCI」で可視化。広告接触によって、新規の購買率が18.4%上昇したことを確認できた。

広告接触による購買率
広告接触による購買率

 この結果について、花王の社内からは、「今まで見えなかったものを数値化できたことが、新しいチャレンジとしてとても良い」という声が上がったという。

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マス向け商材にとっての「クリック率」とは

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/18 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30718

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