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イベントレポート

企業単位から購買意思決定者を特定したアプローチへ アカウントベースドエクスペリエンスがもたらす価値

 米国時間の3月26日からラスベガスで開催されている「Adobe Summit 2019」の3日目に、Marketing Nationが開催された。Marketing Nationは2018年9月にアドビに買収されたマルケトが開催していたマーケター向けイベント。アカウントベースドマーケティングの進化版にあたるアカウントベースドエクスペリエンスが話題の中心となった。

「顧客体験」で世界を変えていく

 3日目キーノートのオープニングを飾ったのは、元マルケトのCEOでアドビではデジタルエクスペリエンス事業部門担当 シニアバイスプレジデントへ就任したスティーブ・ルーカス氏。「顧客体験」で世界を変えていくアドビが唱えるビジョンに賛同し、自身の考えとしても「顧客体験こそ、企業が競争優位性を保つ源泉だ」と主張した。続いてアドビ 会長 社長 兼 CEO シャンタヌ・ナラヤン氏がゲストとして招かれ、買収時のことを語りはじめた。

 「私たちが買収時に最も大切だと考えていることは、ビジョンの共有です。彼のビジョンを聞きアドビとマルケトの2社は一緒になるべきだと確信をもちました。『顧客体験で世界を変えていく』というビジョンをもって一緒に歩んでいける、素晴らしいパッションをもった仲間たちを迎えることができ、とても幸せです」(シャンタヌ・ナラヤン氏)

シャンタヌ・ナラヤン氏とスティーブ・ルーカス氏が握手を交わした

握手と交わすシャンタヌ・ナラヤン氏とスティーブ・ルーカス氏

 初日のキーノートでは、マイクロソフトとのパートナーシップ拡大とLinkedInとの新たな連携が発表された。これらの連携を通して、アカウントベースドマーケティングの進化版にあたる、アカウントベースドエクスペリエンスを加速させていくとスティーブ・ルーカス氏は語っていたが、このキーノート全体でもアカウントベースドエクスペリエンスについての話題が中心となった。

左からAccount Insights & Profiling、Reach New & Known Contacts、Nurture、Engage、Measure & Optimize これら5つの要素によって構成されていると紹介された

左からAccount Insights & Profiling
Reach New & Known Contacts
Nurture
Engage
Measure & Optimize
という5つの要素によって、
アカウントベースドエクスペリエンスは構成されていると紹介された

 アカウントベースドエクスペリエンスを推進するために、新たに強化された機能の一つとして、会話型マーケティングプラットフォームのDriftと協業し実現した新機能である、Conversational ABM for Marketo Engageが発表された。

チャットボットを活用しパーソナライズな体験を

 Conversational ABM for Marketo Engageを活用することで、Marketo Engageのユーザーはターゲット企業のアカウントリストをDriftと連携するだけで、Webサイトに訪問したターゲット企業の担当者と、チャットボットを通したパーソナライズな会話が可能となる。また、優先的に対応すべき企業の担当者が訪問した場合は、アカウントリストとの連携から、その企業を担当する営業担当者とのミーティングの設定が可能になるなど、より顧客体験を重視した対応が可能となる。壇上に招かれたDriftのCEOであるデビッド・キャンセル氏は、スティーブ・ルーカス氏と握手を交わした後に次のように語った。

 「BtoBの購買プロセスにおいても、ユーザー側が主導権を握っている時代になりました。これまでは、個人にフォーカスするのはBtoC領域という認識でしたが、デジタルの時代となりその境界は崩れました。企業内個人、いわゆる購買意思決定者に対してピンポイントに顧客体験を高めることがビジネスの成功を導きます。Marketo EngageとDriftが連携することにより、ユーザーが購買プロセスのどの段階にいても、マーケターはユーザーが期待している体験を提供することができるようになるのです」(デビッド・キャンセル氏)

Drift CEO デビッド キャンセル氏も登壇
アカウントベースドエクスペリエンスの可能性について言及

アドビの各製品群との連携も進む

 もちろん、アドビの各製品群との連携も強化している。たとえばMarketo Engage、Adobe Marketing Cloud、Adobe Creative Cloudの連携により、Marketo Engage側で直接クリエイティブの編集ができるようになった。この連携により、Marketo Engageユーザーは同プラットフォーム上で簡単にクリエイティブの制作・編集ができるようになり、大幅に利便性が向上した。さらに各製品群と同様に、アドビが開発したAIである「Adobe Sensei」との連携も進んでいく。

Marketo Engageでクリエイティブの編集を行えるようになった
Marketo Engageでクリエイティブの編集を行えるようになった

 キーノート後に展示会場内のマルケトブースでMarketo Engage担当者へアカウントベースドエクスペリエンスに関するコメントを求めたところ「アカウントベースドエクスペリエンスを実現するための機能は既にほぼ揃っている。現時点では概念のレベルに留まっているが、現実に活用されていく日はそう遠くない」と語っていた。BtoBの世界においても、企業単位(アカウント)ではなく、企業内個人単位(インディビジュアル)でのアプローチができる日は、すぐ目前に迫っている。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/22 14:00 https://markezine.jp/article/detail/30741

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