ブルーレイはプラットフォームになれるのか?
今後、ダウンロード型サービスも増加するものと思われるが、音楽配信におけるアップル社のiTunesのような圧倒的なプラットフォームがまだ存在していない上、データ容量が平均5、6分の長さの楽曲ファイルに対して動画ファイルは桁違いに大きいというデメリットがある。音楽配信の場合、単価が数百円、1曲単位が主体であり、アルバム単位での販売が現状それほど多いわけではない。それがまだ市場にCDアルバムが流通している大きな理由でもあり、同様のことが映像パッケージソフトにも言えるだろう。
デジタルコンテンツ協会の調査によれば、国内のDVDセル市場は2005年の3915億円にピークに達し、2006年には前年比約19%減の3184億円に減少している。 要因としてはHDDレコーダーの普及、DVDのレンタルサービスの充実による一般ユーザーの購入枚数減少、DVDセル市場の過当競争による販売単価の低下などが考えられるが、いわゆるライトユーザーがそれほど増えずレンタルやゲームなど他のメディアを消費し、コアユーザーがセルDVD市場を支えていると思われる。
プレイヤーの普及度は、DVDがブルーレイを圧倒しているが、今後ブルーレイが一定以上の数、いわゆるキャズムを超えて普及するとユーザーが判断すれば、パッケージソフトを購入する際には、価格が同等であればより高画像であるブルーレイを選択すると予想できる。日本では、ワーナー・ホーム・ビデオ、ソニー・ピクチャーズなどはDVD版よりも1000円高い価格でブルーレイ版を販売しているが、この価格差が縮まってくればブルーレイの売上にもはずみがついてくるだろう。
一方、ライトユーザーに対しても、今月に入って各社からブルーレイのレンタルサービス開始がアナウンスされており、今後身近にブルーレイを体験できるようになるのは間違いなさそうだ。今年3月19日にTSUTAYAが主要10店舗でブルーレイレンタルを開始し、ゲオが今年4月12日より800店頭超にてブルーレイレンタルを開始すると発表した。オンラインレンタルサービスにおいてもDMM.comが4月4日よりブルーレイのレンタルを開始している。
ソニーを中心とした家電メーカーがブルーレイの拡販に力を入れているが、今後の動向を占う上で、ブルーレイソフトのパブリッシャー、そしてマイクロソフトや、iEEE-1394 、USB、Bluetoothといった、その時代の先進技術に常に積極的に取り組んできたアップルが、どのように対応していくかも大きな鍵となるだろう。
映画コンテンツの流通を担っていく媒体として、オンラインダウンロードにはまだ不完全な部分も多い。ブルーレイがプラットフォームとなりうる可能性はまだ十分残されているが、その成否は、今年一年の動きにかかってきそうだ。