若年層ほど複数のサービス利用に積極的
次に、サブスクリプション型サービスの利用者に、サービスの契約個数と月の利用料金(合計)を聞いた(図表3)。

ベース:サブスクリプション型サービス利用者(n=361)
複数のサービスを契約している人は全体の47%で、つまり1つしか契約していない人が半数以上ということになる。年代別に見ると、10代と20代は複数を契約している比率が他の年代と比べて相対的に高く、反対に40代、50代は1つだけの比率が高い。この結果、月の利用料金(合計)の平均が最も高かったのは10代(3,429円)で、20〜50代全体の平均利用料金よりも1,000円以上も高いことがわかった。
本来は所得が高いはずの高年層が、サブスクリプション型サービスに対する“財布の紐”が固い理由までは今回の調査から明らかにはならないが、各サービスの内容やメリットを伝える余地はまだまだ大きいように思える。
“サブスクリプション2.0”の利用は限定的
サービス種類別の利用状況はどうだろうか(図表4)。

ベース:サブスクリプション型サービス利用者(n=361)
利用率1位は「動画配信サービス」で約8割が利用しており、「音楽配信サービス」が約4割で続いた。衣料品や飲食など、“サブスクリプション2.0”と呼ばれるようなサービスは、現時点では軒並み5%未満とあまり利用が進んでいないようだ。
年代別でみると、10代の「音楽配信サービス」の利用率が高く、年代が高くなるに連れて低くなっていくことが明らかになった。
解約の可能性が低く利用意向が高いのは「動画配信」
さらにサービスの種類別に、“絶対に解約しない”“今後(も)使ってみたい”という回答傾向についても見ていく。ここからは非利用者も含めた全数ベースでスコアを確認する(図表5)。

ベース:全体(n=1,000)
「動画配信サービス」の消費者全体における利用率は29%、そして“絶対に解約しない”が20%。つまり、“絶対に解約しない”と明言する人の割合を算出(20%÷29%)すると約7割ということになる。これは「音楽配信サービス」を“絶対に解約しない”という人がわずか4%であることとは対照的な結果となる。
なお、今後の利用意向(今後(も)使ってみたい)は、「動画配信サービス」が他のサービスよりも圧倒的に高い。また、現時点では利用者数が少ないカテゴリーのうち「本・雑誌・コミック配信」、「飲食」については利用意向が高く、今後の期待値の高さがうかがえる結果だ。
さらに、サブスクリプション型サービスを現在使っていない消費者(「あてはまるものはない」64%)のうち約半数が、今後機会さえあれば利用したいと考えている可能性があることもわかった。時期的なものか、価格的なものか、環境的なものか、何かしらの条件が揃ったときに利用を開始する消費者が一定量存在しているといえよう。
サービスの利用開始に大切なことは「価格」と「わかりやすさ」
最後に、サブスクリプション型サービスを新しく使い始めるとしたら、その決断に影響することは何かを聴取した結果をまとめる(図表6)。

ベース:全体(n=1,000)
影響力が最も大きいのは「利用料金」で、それに続く要素が「使い方がわかりやすいこと」と「利用開始手続きがカンタンなこと」。年代によって異なる傾向が見られ、10代は、「口コミ」や「友人からの紹介」、「話題」や「テレビCM」、30代以上は、サービス提供元が影響していることがわかる。
今回の調査結果から、サブスクリプション型サービスは言葉の浸透度も、サービスの利用度もまだまだ伸び代がある状態にあることがわかった。現時点では「動画配信サービス」のみが普及しているように見えるが、費用対効果的なメリットを訴求するだけではなく、利用を始めるにあたっての煩わしさを軽減すること、利用そのものがスムーズに進められることを正しく伝えることで、利用の拡がりが望めそうだ。
また、「絶対に解約しないサブスクリプション型サービスとその理由」を自由記述で尋ねたところ、「使い放題だからこそ出会える音楽や動画、その楽しみ」という点について多くの人が熱く語っていた。「モノ」「コト」のサブスクリプション型サービスこそ、選択の幅が拡がることやトライアル感覚で利用できることのベネフィットを享受できるサービスが求められているのかもしれない。
■調査概要
調査主体:マクロミル・翔泳社(共同調査)
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に在住の15~59歳の男女(マクロミルモニタ会員)
割付方法:平成27年国勢調査による、性別×年代(5歳刻み)の人口
動態割付/合計1,000サンプル
調査期間:2019年1月30日(水)~2019年1月31日(木)
・本文の数値は四捨五入した整数で表記しています。
・百分率表示は四捨五入の丸め計算を行っており、合計が100%とならない場合があります。
▼調査レポート
『サブスクリプションに関する調査。サブスク利用者拡大のカギとは?』(HoNote)