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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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定期誌『MarkeZine』特集

テレビマーケティングの今を知る

オンライン化が進むテレビCMのプロセス

――回答協力:Group IMD 事業開発本部 兼 セールスマネージャー 田中 郷資氏

テレビCMのプロセスに押し寄せるオンライン化の波

 これまでテレビCM施策に携わった経験がある方からない方まで、「テレビCM出稿には莫大な工数がかかる」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。しかし、そんな先入観もテクノロジーの発達により、変わりつつあります。

 2017年10月、日本でもテレビCM素材のオンライン運用が始まりました。日本広告業協会と日本民間放送連盟が共同で進めてきた取り組みであり、資生堂がIMD CLOUDを利用し、他社に先駆けて取り組んだことも話題となりました。

 オンライン運用とは、広告会社、制作会社、放送局など、テレビCMの企画・制作・出稿に関わるすべての関係者を連携し、テレビCM素材のオンライン送稿を行う仕組みです(図表6)。

図表6 オンライン送稿のイメージ図
図表6 オンライン送稿のイメージ図

 2019年4月時点では、101のテレビ局がオンライン送稿に対応しており、広告主側の利活用も徐々に進みつつあります。

 オンライン送稿のメリットとしては、「コスト・工数の削減」、「スケジュールの短縮」、「素材の一元管理・保管」といったことが挙げられます。テレビCMのプロセスが自動化することで、これまでの煩雑さを解決し、工数が削減できます。関係者間での情報共有が透明化・効率化されることで、ワークフローそのものに変革が起きているのです。今はまだ過渡期ですが、完全オンライン化の実現はそう先のことではないかもしれません。

テレビCMの効果を誰もが享受できる時代に

――回答協力:ラクスル 取締役CMO/広告事業本部長 田部 正樹氏

テレビCMを「早い、安い、簡単」に

 テレビCMの運用が徐々にオンライン化してきた一方で、テレビCMの買い方にも新たな変化が起きています。依然として大きな影響力を持つテレビCMを、大企業だけでなく、スタートアップや中小企業も活用できるサービスが生まれています。

 たとえば2018年10月から日本テレビが提供を開始した「Advance Spot Sales(以下、ASS)」は、業界で大きな話題となりました。ASSの主な特徴は(1)CM枠を15秒1本単位から購入できること(2)日付指定ができること(3)ポジション指定ができること(4)データ会社が提供する一部のデータを日本テレビが購入し、広告主や広告会社がそのデータを無料で使えること、の4つです。それに加えて、広告主が広告会社を通じて購入可能なテレビCM枠、日付、価格をすべてWebの特設サイト上で公開していることが、テレビCMプランニングの利便性を大きく高めています。

 また、ネット印刷のラクスルは、「ラクスルのテレビCM」というサービスを始めました(図表7)。

図表7 ラクスルのテレビCM作成の4ステップ
図表7 ラクスルのテレビCM作成の4ステップ

 「制作放映で50万円?」といった、テレビCMのイメージを覆す価格帯が多くの広告主の目に留まり、スタートアップや中小企業を中心に、初めてのテレビCM出稿に取り組み始めました。また、先の日本テレビのASSと連動し2018年10月にスタートした「テレビCMオンラインストア」は、その名のとおり、テレビCMの出稿がオンラインで完結できる仕組みです。

 ラクスルがテレビCMのサービスを始めた背景には、自社のテレビCM施策で培ってきた経験とノウハウがあり、そして正しく活用することでテレビCMは誰でも大きな成果を得られるという信念があると言います。

 「ラクスルは今では年間10億円を超える予算をテレビCMに投資しています。ラクスル自身が、テレビCMを効果的に活用しながら成長を遂げてきました。テレビでもデジタルと同じようにA/Bテストを実施し、仮説を立てて検証と分析を重ね、成果が出るクリエイティブのフレームワークを構築しました。同時に適切な投下量や費用を算出し、地域別に検証を重ねてきたのです。

 テレビCMをうまく活用できれば、投資額以上のリターンを得ることができます。少額で手軽にテレビCM施策に挑戦できるようにすることで、テレビCMを活用できる企業の間口を広げ、業界全体の活性化につなげたい。そんな思いから、事業を開始しました。

 ラクスルは印刷事業で、数十万のお客様とつながっています。ここでの本質は、お客様は“印刷”がしたいのではなく、“集客活動”をする中でラクスルに印刷を発注していることです。既存のお客様をはじめ、すべての企業の集客活動を支援していきます」(田部氏)

 テレビCM施策を実施して視聴者の認知を取るためには、ある程度の放映量をイメージすると思います。それにともない、必然的にコストは高くなりますが、田部氏は「低コストでも、リターンを得る施策はできる」と言います。

 「地方に行くほどテレビCM単価は安くなるので、小さく始めて検証を重ねることができます。自社の商品・サービスにはテレビCMが効くのか、効かないのか。クリエイティブが当たっているのか否か。自社の勝ちパターンをデータで裏付けし、ノウハウを積み重ねた後に、関西・関東圏で大きく投資をするのかを決めるなど、順を追ってテレビCM施策でもPDCAを回していくことができます」(田部氏)

 企業規模にとらわれずに、テレビCM活用に挑戦し、その効果を享受できる時代が到来しています。今後はさらに様々な企業のテレビCM活用が進み、テレビ市場の活性化が促進されていくのではないでしょうか。

次のページ
データを活用したテレビCM施策の改善方法

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/24 13:15 https://markezine.jp/article/detail/31036

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