プレゼンの重要な視点「プレゼント」と「企」
プレゼン資料の作成に入る前に、まず理解しておくべきは「プレゼンテーションは“プレゼント”である」「プレゼンの中に企(くわだて)を含む」ということです。すなわち本質を問い質す軸を持つということです。
デザインの詳細にこだわる前に、説明する資料に伝えたい“何か”が含まれていなければ、相手には何も伝わりません。プレゼンを終えた後に、相手にどんな「気づき」を与えたいのか、独りよがりの分厚いだけの企画書になっていないか。プレゼン資料作成に入る前段として、本質をまずは見直してください。
プレゼンに求められる新たなミッション
近年、プレゼンテーションが重要視されるようになった背景には、商品やサービスのコモディティ化が密接に関わっています。端的に説明すると、技術や機能面での差別化が厳しくなり、プロダクトの“ブランド”での差別化が不可欠となっているのです。これはグローバル企業や大企業に限ったことではなく、日本の中小企業やスタートアップ企業も同じく向き合っている課題です。
ところで、Webサイトとプレゼン資料の要素は実は非常に似ています。(1)営業の代わりにセールスポイントを代弁する、(2)情報を構造化する、(3)ユーザーの購入率を大きく変える、という観点で、同じ役割を担っています。
Webサイトでは、価格・機能・効用・差別化のポイントなどが説明されていますが、その出来栄え次第で、売上が大きく左右されます。同様に「資金調達」「IR・決算説明会」などのプレゼン資料も、その出来栄えが投資家や株主の決断に大きく影響します。
良いプレゼン資料と悪いプレゼン資料
実際に、資料の作り方一つでそんなに違うのかと思う方もいらっしゃるかと思います。では実際に、資料を比較してみましょう。Beforeが一般の企業が作る資料で、Afterが当社のKUROKOメソッドに基づき、ルール化して作られたプレゼン資料です(下記参照)。
左右で比較するとよくわかると思いますが、差が出ているポイントを端的にまとめると、以下の3つのポイントに分類されます。
- 含まれている情報量(テキスト・データ)
- デザイン(カラー・フォント・レイアウト)の統一感
- 図式化(グラフ・ピクトグラム)
米国の心理学者アルバート・メラビアンによると、話し手が聞き手に与える影響は「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」の3つから構成され、それぞれの情報の影響力は以下の割合であると言います。

プレゼンの場において、視覚情報であるプレゼン資料をきれいに仕上げることで、伝わり方は大きく変わるのです。次回は、“ビジュアル”と“情報の構造化”の観点から、「心に刺さるプレゼン資料の作り方」について言及していきます。KUROKOメソッドの3点目「脳内で情報を再構築するプロセスこそが、資料作成の目的である」の真髄については、続く連載を通して解説していきます。
プレゼン資料<Before→After>
資料1「弊社が特注するダクト関連部品の3つの強み」

資料2「プライベートDMPの活用方法」

資料3「訪日外国人の国籍と年度別推移」

