ABMは日本企業に適したマーケティングスタイル
デジタルマーケティングは米国のほうが進んでいる印象があるが、実は「ABM」というカテゴリーで考えると、日本の営業スタイルとの相性がいい。企業アカウントで営業をかけていくやり方は、古くから多くの日本企業が取り入れているためだ。
NECは「イベントやメディアの記事、2019年からは広告も加え、様々な施策を連動させてOracle Eloquaにつなげ、顧客を抽出してABMを展開しています。広告から流入する匿名ユーザーに関してはAIを活用し、潜在顧客を抽出して実名リードを取る試みも進めています」(東海林氏)と説明する。
今後は国内外でバーチャルな組織を作り、海外まで含めた形でABMを活性化していく方針だそうだ。
NTTコミュニケーションズは「営業という限られたリソースで、既存顧客の新規商談、新規部門開拓をすべて担うのは困難なので、マーケティングと連携し、営業ができない部分をABMで補完する仕組みを作りました」(前田氏)と語る。
特徴としては、セミナーへの集客や参加など、営業担当の活動もABMのスコアリングに反映することで、営業部門の積極的関与を実現したことだ。これにより、リード商談化率は最大60%向上し、パイプラインも金額ベースで約10倍という成果が得られたという。今後は引き続きリードの質向上のほか、「西日本方面でもABMの手法を取り入れた営業活動を展開していきたい」(前田氏)と抱負を述べる。
両氏は最後に、来年のMarkie Awardへの参加意欲を示すと共に、「日本のファイナリストが増えることを期待しているので、ぜひエントリーを」(東海林氏)、「BtoCの賞も増えているので、日本のマーケティングを盛り上げるためにも、多くの企業が参加してくれると嬉しい」(前田氏)と、イベント参加者であるマーケター達に呼びかけた。
リアルタイムCXを実現するOracle CX Unityとは
続いて登壇したのは、日本オラクルのCXソリューション部門を統括する宮川崇氏で、オラクルが考える「次世代のリアルタイムCX」を実現する最新ソリューションの数々を紹介した。
オラクルが提唱する近代的なCXを実現する鍵は、もちろんリアルタイム性だ。そのリアルタイムなCXを支援するソリューションとして、同社が2018年10月に発表したのが「Oracle CX Unity(以下、CX Unity)」となる。このソリューションを支えているのがマシンラーニングなどのAI技術だ。宮川氏は「CXの阻害要因となっている、バラバラな顧客タッチポイントで管理する顧客情報を統合して分析し、実際のアクションにリアルタイムに反映させるソリューションです」と説明する。
宮川氏によるとCX Unityは、今注目されているCDP(Customer Data Platform)に対応するものだという。CDPは顧客データ基盤とも呼ばれるが、従来の顧客データベースやDWH、DMPと異なる点がある。それは、電話やメールアドレス、SNSのアカウントなど、一人の顧客が複数のタッチポイントやデバイスを使い分けるようになり、顧客情報を統合することが難しくなっている昨今、CDPが目指すのは、まさにこの顧客情報の統合にある。
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