ビッグデータも活用しUXに集中するJapanTaxi
西村氏に続いてマイクを握ったJapanTaxiの岩田氏は、同社の「移動で人を幸せに。」というビジョンを説明しながら、タクシーがビッグデータをはじめとするテクノロジーでよりよいものにできることに魅力を感じてJapanTaxiにジョインしたというエピソードを紹介した。
JapanTaxiは40年前に日交データサービスとして創業し、グループである日本交通のドライバーの管理など社内システムを手がけてきたが、2011年に日本初の配車アプリをリリース。2015年にJapanTaxiに商号を変更し、配車プラットフォームや決済プラットフォーム、広告事業やIoT事業を手がけるIT企業として、日本全国のタクシー会社をネットワーク化している。
いち早くアプリによる配車に対応した日本交通は、いまや迎車の7割がアプリでの配車リクエストによるものだ。かつては8割が電話によるものだったので、この5年間でタクシーをめぐる状況は確実に変わった。

この変化を牽引してきた「JapanTaxi」アプリは国内700万DLを突破したアプリで、NAVITIMEやGoogle マップといった外部チャネルとも連携してユーザーを増やしてきている。また、インバウンド需要のために韓国最大のモビリティプラットフォーム「カカオT」を提供するカカオモビリティとの連携も深めている。
音声系のUIとしてAlexaスキルも出しており、事前にスマホアプリで乗車場所と支払い方法を登録しておけば、Alexaに「アレクサ、ジャパンタクシーを開いて」と呼びかけることで、タクシーが指定の乗車場所へと迎車に向かう。スマホを開くことなくハンズフリーでタクシーを呼ぶことができるわけだ。
また、経費精算のコンカーやマネーフォワードとも連携して、ビジネスパーソンにとっての乗車後のUX追求にも余念がない。
自社開発の配車・決済プラットフォームに加えて、フリークアウトと立ち上げた合弁会社IRISでは、タクシー搭載デジタル・サイネージ「Tokyo Prime」を展開。ハードウェア・ソフトウェアをJapanTaxiで開発し、IRISでは、Google DoubleClick Bid Managerから買い付け可能な動画広告の他、日経電子版、GQ JAPANなどのプレミアムコンテンツを配信している。
さらには、タクシーから取得できるビッグデータを「JapanTaxi Data Platform」として集積し、移動の未来を創造する「モビリティ研究開発部」を創設。10名の専任スタッフが所属し、自動運転や機械学習を使った配車支援サービスによる需要予測などの新プラットフォームを開発している。
ドライブレコーダー解析による道沿い情報の収集や、自動運転AIを搭載した「AIパイロット」をタクシーに設置し空間データを取得するティアフォーとの共同実験といった実績も重ねてきており、自動運転社会に向けての対応を強化しつつある。
