コンテンツ地獄を抜け出すためには
真実4:コンテンツ地獄は自らは解消しない
●97%がコンテンツをより早く制作することが重要と回答
●74%はパーソナライズに必要となるコンテンツの種類や量を作ることはできないと回答
安成:4つ目の真実、「コンテンツ地獄」とは衝撃的な言葉ですが、どのような状況のことを指しているのでしょうか。
オニール:コンテンツを作っても作っても、顧客と日々接している現場の営業をはじめ他部署からの要望を完全に満たすことはできない状況のことです。そもそも、デジタル変革を実現するためには、大量のコンテンツが必要であり、実にマーケターが持つ時間の6割がコンテンツ作りに費やされていると言われています。そうやって作ったコンテンツをテストしながら、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのかということを把握し改善していくことが重要です。
「うまくいっている」と「うまくいっていない」の判断基準は、売上などのビジネスと直結していることが望ましいです。しかし、難しい場合には、自社にとっての重要性や将来性、可能性の高い層へのコンテンツがどういうものであるかを分析し、期待値がどこにあるかを考えていけば、コンテンツの量そのものを減らすことができます。いわゆる選択と集中ですね。
顧客データを弱点から強みに変えていくために
真実5:顧客データこそがあなたのクリプトナイト
●50%以上のマーケターは、データにギャップがあると言う。そして分散していることと、アクセス権限の欠如が自社にとって重要な問題としている
オニール:クリプトナイトとは、スーパーマンの弱点となる物質のことです。何が言いたいかというと、データというのは、本来持っていれば強みになるはずのものですが、多くの企業では、データがぐちゃぐちゃな状態になっているがゆえにむしろ弱みになっているということです。
きちんとデータを整理し、カスタマーエクスペリエンスを改善していけば、パーソナライズゼーションができるはずなのに、現状ではそこが弱点になっているのです。そのため、マーケターの方々には、まずはデータをクリーンにすること、そして顧客のセグメントを的確に特定してそれぞれの顧客セグメントごとに強いデータを用意することをお勧めしています。
安成:データを活用する以前の、データをクレンジングして整える作業の重要性はしばしば言及されますが、そこが最も大変で労力・時間ともにかかりますよね。
オニール:これは、マーケティングの部門だけの話ではありません。セールス部門やプロダクト部門とも手を組みながら、全社的なデータストラテジーとして取り組んでいかなければならないでしょう。
最もエンドユーザーのデータをもっているのは現場の営業担当です。海外では営業担当たちは顧客データの入力までKPI設定されていますが、日本においてはそうではない場合がほとんどなので、その点ではより難しさがあるでしょう。
デジタル変革を目指す日本の経営者に向けて

安成:MarkeZineでは「マーケティングを経営ごとに」というミッションを掲げており、プレーヤーの方々だけでなく、経営層の方に向けてもマーケティングの重要性を伝えるコンテンツを発信しています。現状ではまだ、日本でマーケティングを経営ごととして捉えている経営層はまだ多くはありません。今後デジタル変革を進めていくためのアドバイスをいただけますか。
オニール:私から日本の企業やその経営幹部の方にアドバイスができるとすれば、マーケティングテクノロジーがもたらす情報を把握し、その情報がどうビジネスの成功に寄与するのかということに着目してほしいということです。指標を作るなどの形で、ビジネスに導入するということをお勧めします。そうしていけば、日本でもマーケティングを経営ごとにすることが可能だと思いますよ。