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市場の未来を見通す、仮想市場実験のすすめ

 市場がこの先、どのように変化していくのかを予測したいと考えるマーケターも多いのではないだろうか。市場の今後を見通す仮想市場実験の手法として期待されているのがエージェント・ベースド・モデリング(ABM)だ。本稿ではABMを活用して国内ミドルサイズSUV市場の未来を予測。予測結果を紹介しながら、ABMの持つ魅力を明らかにする。

※本記事は、2019年8月25日刊行の定期誌『MarkeZine』44号に掲載したものです。

ミドルサイズSUVはこの先どうなる?

 国内自動車市場の低迷が長引く中、SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の人気は高まる一方である。弊社Car-kit※1の過去データを振り返っても、10年間でSUV保有構成比が2倍強に伸長し、中でもコンパクト型SUVの保有が急速に増えていることが見て取れる(図表1)。

図表1 保有者に占めるSUV車の構成比/保有SUV車に占めるボディサイズ構成比(タップで拡大)
図表1 保有者に占めるSUV車の構成比/保有SUV車に占めるボディサイズ構成比(タップで拡大)

 一昔前のSUVは「デコボコ道での走破性に特化したオフロード専用車」であったが、コンパクト化や低燃費化に成功した結果、今や日常使いに適した車種が多数登場しているのだ。

 本稿ではその中でも、各社の主力車種が群雄割拠するミドルサイズSUVの世界に着目してみる。ミドルサイズSUVに明確な定義はないが、全長4,500-4,600mm前後、全幅1,800-1,900mm前後、全高1,700mm前後であれば、ミドルサイズSUVと呼んで差し支えないだろう。代表的な国産車としては、ハリアー・RAV4(トヨタ)、CX-5(マツダ)、エクストレイル(日産)、CR-V(ホンダ)、フォレスター(スバル)、NX(レクサス)、輸入車ではGLC(メルセデス・ベンツ)、X3(BMW)、Q5(アウディ)、XC60(ボルボ)、ティグアン(フォルクスワーゲン)などが挙げられる。

 さてここで、私は自動車メーカーでミドルサイズSUVの中長期戦略を担当する立場であるとする。競合との顧客獲得競争が激化する中、ミドルサイズSUVはこの先どのような環境変化に直面し、市場はどう変化するだろうか。未来シナリオに考えを巡らせてみよう。

※1 Car-kit
インテージが毎月約60万人から前月の自動車情報を取得しているシンジケートデータのこと。現有車や次期意向などを聴取する市場動向把握調査と、契約者に対して購入理由や購入時の重視点などを聴取する契約者調査の2部構成で実施。

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/20 10:58 https://markezine.jp/article/detail/31816

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