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半歩先行くコンテンツマーケティング 「独自性」を紐解いて活用する

ネタに独自性がなければ“初めての人”になれ!ベイジの枌谷さんと考えるコンテンツの質を上げる方法


トップが率先して自分をさらけ出していくべき

中山:主観をさらけ出すのが難しいという原因は、「失敗を恐れているから」が大きい気もします。枌谷さんの考えを浸透させるために、日頃から社内で伝えているメッセージってありますか?

枌谷:システム化された教育の仕組みは特になく、日々の仕事の中で私の考えを言い続けながら、全社に浸透しているのが実状です。たとえば、Web制作のプロジェクトの中でコピー案を皆で考えるとき等は「その言葉のセレクトではターゲットを絞り込みすぎる」とか「この言葉だとメッセージがぼやける」とか、そういう話は自然としています。

 それと、日報を毎日書く文化もあります。『ベイジの日報』として公開しています。いわゆる進捗報告ではなく、仕事を通じて何を感じ、どう考えたかをしっかりと書く日報なので、考えを言語化する文化は自然と育まれているように思います。

中山:考えを言語化する習慣付けがされているのは、文章力は誰でも後天的に身に付けることができる、という考えがあるからですよね。

枌谷:最初はたどたどしい文章しか書けなかった社員が、2~3年して立派な文章を書くようになった、という例をいくつも見ているので、それは確かです。ただ、みんなが、人を惹きつける独自性の高いコンテンツを書けるかというと、そこはよくわからないところで……。

中山:多少の才能がいる?

枌谷:もちろん才能もあるでしょうが、気持ちの問題も大きい気がします。たとえば「Twitterで会社のことも自由に話していいよ」と伝えても、「自分らが勝手に書くことで、べイジのブランドを傷つけてしまうかも」みたいな配慮をする社員もいます。要するに「失敗を恐れている」のですが、立場的にその気持ちはわからなくもありません。私は会社の代表なので思いきったことが書けても、社員は気にしないわけにはいかない。いくら企画力や文章力があっても、思いきれないことによって能力が発揮できないことはあると思います。

中山:社員と代表では、立場がどうしても違いますし。

枌谷:私なら、最悪炎上しても自分でフォローしたり謝ったり、どうとでもできます。でも社員からすると、自分の手に負えない状態にはさすがにできない。だから情報発信は、トップなり事業責任者なりがまず率先して自分をさらけ出していかないと、現場の人にはなかなか浸透しない気がします。

中山:「創造性が大事! クリエイティブなことをどんどんやれ」って発破をかけるトップは多いですけど、トップの行動が伴ってないと社員がついてこないのはあるあるですね。

ブレーキを掛けながらアクセルは踏めない

枌谷:独自性のあるコンテンツを作る条件として、「リーダーが積極的で協力的であり、任せたメンバーが(独自性を追求した結果)なんらかの問題を起こしてもちゃんと責任をとる」があるでしょう。「チャレンジはさせないけど、結果は出せ」では、ブレーキを掛けながらアクセルを踏めってくらい矛盾しています。

中山:独自性云々とは別軸で、「突っ込まれない文章の書き方」のノウハウはある程度必要でしょうね。

枌谷:断定しすぎないとか、例外をキチンと書くとか、考えられる反論や他の意見に言及しておくとか。私の記事はバズっても、批判的なコメントは全体の0.5%くらいで済むことが多く、その理由の一つとして、批判を回避する文章の書き方、距離感の取り方、みたいなのはあります。

中山:そういう文章の書き方や距離感はどうやって養ったんですか?

枌谷:1998年くらいから音楽がテーマのホームページを運営していて、掲示板でやり取りをしていたので、燃えやすい&対立を生みやすいコミュニケーションはなんとなくわかります。

 ちなみに音楽って燃えやすいテーマなんですよ。個人の想いやこだわりがぶつかり合う、エビデンスがない世界なので(笑)。そういった宗教論争みたいな議論のやり取りを通じて、ネット上の距離感、言葉使い、批判的意見の扱い方は随分と学びました。

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コンテンツを作るときに意識している3つのポイント

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この記事の著者

中山 順司(ナカヤマ ジュンジ)

SEO・ソーシャル・動画の3領域でのコンテンツ企画と制作が得意な生粋のコンテンツクリエイター。ソフトバンク、楽天トラベル、Six Apart、freee、ファベルカンパニーを経て2024年に独立。コンテンツマーケティングを専業とし、オウンドメディアとYouTubeの設計 / 企画 / 執筆 / 編集 / 分析 / 改善 / SEO を幅広く行う。MarkeZine、Web担当者Forum、ねとらぼ、WorkshipMAGAZINE等で執筆しつつ、Content ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/09 11:58 https://markezine.jp/article/detail/32030

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