既存の解析ツールでは見えないユーザーの「感情」が伝わる
――既存の解析ツールにはない、USERGRAMならではの強みはどこにあるのでしょうか。
立石:私としてはユーザー個々の行動が見えることに魅力を感じています。特定ページの直帰率が高いことは既存の解析ツールでもわかります。
でも、既存の解析ツールでは「Aページに流入し、一旦Google検索ページに戻って、再度Googleで検索してBページに流入してきた」というようなサイト離脱後も含めた行動の流れまでは追えません。USERGRAMの分析で、意外とそのような行動を取る方が多いと気づきました。
なので、AページにBページへの内部リンクを設置し、離脱することなくスムーズに遷移できるよう導線を設計したところ、直帰率が23%減少しました。ユーザーの手間を簡略化させることに成功したのです。
中川:やはり、ユーザー一人ひとりの時系列の行動を直感的に追えるのがすばらしいですよね。たとえばサイトに流入し、離脱したけれど、数週間後に再訪したなどという行動が、USERGRAMだと簡単に観察できます。
立石:時系列で行動を見ると、ユーザーの「思考」や「感情」が読み取りやすくなります。「あるページに流入したユーザーが、1秒未満で検索エンジンに戻った」という情報を得られたとします。この行動から、ユーザーがページを見た瞬間に「間違えた」と感じたのではないか? と仮説を立てることができる。そこから、コンテンツ改善につなげられます。
たとえば、あるページから入力フォームへのリンクをクリックした後、一瞬でブラウザバックして戻るユーザーが多いんですが、既存の解析ツールでは、そのページから入力フォームへの遷移率が◯◯%だ、ということしか見られません。その遷移率◯◯%の中には、ページの内容を理解して納得して遷移したユーザーと、間違って遷移してしまったユーザーがごっちゃになっていて、区別できない……。
一方USERGRAMだとユーザーが何秒間フォームを見ていたかがわかるので「この人は1秒でブラウザバックしてしまったということは、クリックして表示されたページを見て『あ、間違った!』と思ってすぐ戻ってしまったのかな」とユーザーの気持ちを想像する手がかりになるんですよ。
このような分析をしている中で、これまではサービスの利用にいたらなかった方の気持ちに、必ずしも全力で寄り添えていなかったのではないかと気づきました。
間接的にCVに貢献しているページを見逃していた
――より、ユーザーの気持ちに寄り添えるようになったということですね。
立石:ユーザー行動を認識できるようになってからは、業務の優先度にも変化が出てきました。
CVRの数値改善をするときに、直接的にCVに結びついているページの改善が優先されがちで、間接的にCVに寄与しているページにはあまり目を向けられていませんでした。ですが、USERGRAMを通じてそういった後回しにしていたページこそが実は重要なページだったとわかるケースもありました。それまでは表面的に重要そうなページだけ改善し続けていただけで、部分最適に陥っていたのだと思います。
Google Analyticsなどを基準にしたファネル型分析に加えて、USERGRAMで観察したユーザー行動からのアプローチも行うことで、より幅広い提案ができるようになりました。
――他のチームメンバーにも変化がありましたか?
立石:個々のコンテンツページがユーザーにどのように読まれているかが詳細に可視化されたので、コンテンツ制作チームにはすごく喜ばれています。さらに、記事同士の回遊率向上や、フォームに進んだユーザーの行動最適化までSEOチームとして改善に関わろうとする領域の拡大も見られていますね。
そもそも、一般的な計測ツールでは集計された平均値を目にすることが多いので、「内訳」が見えなくなってくるんです。平均として丸められるとユーザーの姿は見えづらくなってしまいます。ユーザー行動がどの程度分散していてどんなふうに分布しているのかという情報が得られなくなってしまいますから……。
中川: 実際、USERGRAMで見ていると、ユーザー行動は二分化されていることが多いです。たとえば平均滞在時間が1分と計測されたページをUSERGRAMで分析すると、数秒しか見ていない人たちと、数分にわたり熟読している人たちの行動が集計されて平均滞在時間が1分だったということがあります。