1年2ヵ月で検索流入6倍に成長した「いぬのきもち」「ねこのきもち」
ベネッセの運営するWebマガジン「いぬのきもち」「ねこのきもち」は、同タイトル雑誌の関連サイト。Faber Companyのコンテンツマーケティングツール「MIERUCA(以下、ミエルカ)」を駆使して記事を作成していった結果、両Webマガジンへの検索流入は、1年2ヵ月で約6倍に。Webマガジンごとで見ると「ねこのきもち」は6倍、「いぬのきもち」に至っては33倍まで増加したという。
このプロジェクトをリードしたのは、「いぬのきもち」「ねこのきもち」Webマガジンの副編集長・ベネッセの持田武資氏と、Faber Companyの白砂ゆき子氏の2人。そもそも、両Webマガジンはなぜ伸び悩んでいたのだろうか。
元々雑誌販促の位置付けのサイトはあったものの、2017年10月にスタートした同Webマガジンのターゲットは、犬と猫を飼っている、興味がある、また飼ってみたいと考える層。しかし「スタートしてからの6ヵ月は、なかなか検索流入が増えなかった」と持田氏。
立ち上げ直後でインデックス数が不足していたことはあったが、持田氏の言う通り、ミエルカ導入前(2018年1月)の同マガジンの流入元の多くは、情報を提供しているニュースサイトや情報メディア、そしてSNSなど、参照サイトからだった。白砂氏曰く、企業によって異なるが「流入元比率は、自然検索が40%、ダイレクト、参照サイトからそれぞれ30%が望ましい」とのこと。流入元をバランス良く分散させることにより、検索や配信アルゴリズムの変化に対応するためだ。
持田氏から依頼を受けた白砂氏は、当時の配信記事の内容を分析。ノウハウ系の記事や獣医師によるQ&A記事を理論的記事(ストックコンテンツ)、エンタメやマンガ、連載系の記事を感情的記事(フローコンテンツ)に分け、SEOに向くストックコンテンツを増やし、検索流入を改善する施策を提案した。
検索意図を捉えたコンテンツ制作にトライ
コンテンツマーケティングは、検索ニーズの高いキーワードをもとにしたコンテンツ制作がセオリーだ。持田氏もそれにならい、一定の量のコンテンツを公開していたそうだが、なぜSEOに影響しなかったのだろうか。
その理由について白砂氏は、「検索意図の深掘りが足りなかった」と話す。
「検索意図とは、ユーザーがどんな目的を持って検索しているか?のインサイトです。たとえば、“犬 甘噛み”の検索意図には、“どうして甘噛みをするのか”。または、“甘噛みしないようにしつけられるのか?”といった感情が隠れています。ベネッセさんのこれまでの記事は、この検索意図の分析が足りていなかったのです」(白砂氏)
あわせて、情報提供サイトごとに、似たテーマの記事を複数公開していたことも、検索順位に響いていた。現状SEOは、ライトな記事を量産するのではなく、検索意図を捉えた読み応えのある記事を公開するほうが、順位が伸びる傾向にあるという。
これらの情報も踏まえて持田氏らは、検索意図を考えたストックコンテンツ制作に着手。まずは、検索キーワードを分析するブレストから始まった。
犬や猫にまつわる検索キーワードは、多種多様だ。ダックスフンドやマンチカンなどの種類や、大型犬・小型犬といったカテゴリ別、さらにしつけ・行動、病名症状、物販系と分けられる。
そのような中、持田氏らは、犬と猫の検索意図に違いを見つける。たとえば、猫は「かわいい」「癒やし」などの感情系ワードが多く、犬は「しつけ」「育て方」などのノウハウ系ワードの組み合わせが目立った。
「そもそも犬はしつけが必要ですし、サイズや犬種によって飼い主の知りたいことが異なります。また、犬はどちらかというと、なんでも食べたがる傾向があり、食べて良い食べ物について調べる意図のキーワード検索も猫に比べて多かったです」(持田氏)