共有を前提としたカレンダー“シェア”アプリ
――カレンダーシェアアプリ「TimeTree(タイムツリー)」は、昨年から広告配信プラットフォーム「TimeTree Ads」の提供を開始し、このほどさらに運用型広告プラットフォームをリリースされました。今回はその特徴と、既に効果が上がっている事例などをうかがいます。まず、今回ご対応いただくお二人の担当業務をうかがえますか?
香川:広告営業を担当しています。広告主様とのやり取りのなかで、広告プロダクトとしての「TimeTree」の課題や可能性が見えてくることが多いので、それらを社内にフィードバックしたりもしています。
吉本:「TimeTree」の企画とマーケティング、および「TimeTree Ads」の開発ディレクションを担当しています。「TimeTree Ads」に関しては、広告配信の技術面を担うエンジニアとともに、広告プラットフォームの企画などを手掛けています。
――続いて、「TimeTree」について教えてください。カレンダーアプリではなくカレンダー“シェア”アプリなんですね?
吉本:はい、その点は「TimeTree」の大きな特徴です。元々「TimeTree」は誰かと共有することを前提にカレンダーアプリが開発されております。ユーザーの方々からは、忙しい中で予定を共有しそびれて、“言った・言わない”でもめてしまうようなコミュニケーション上のすれ違いを解決することができたという声を多く聞きます。自分用の手帳ではなく、家族の予定が書き込まれているリビングの壁掛けカレンダーのデジタル版といったイメージです。サービスローンチ4年半で、国内外合わせて登録ユーザー数は1,700万に上っています。
現在も9割近いユーザーが家族や恋人など誰かとカレンダーを共有していて、月平均で27件の予定が書き込まれています。たとえば共働きで子どもがいるご夫婦なら、子どもの行事やお迎え予定なども「TimeTree」で管理されていますね。
モーメントを捉える「予定ターゲティング」
――昨年、広告配信プラットフォーム「TimeTree Ads」を開始され、MarkeZineでも紹介しましたが(参考記事:ユーザーの未来の行動に基づいた広告を配信する「TimeTree Ads」とは?)、カレンダーという性質を生かした「未来の予定にフォーカスして広告を配信できる」点が斬新でした。広告は、どの面に出るのですか?
吉本:「TimeTree」には、マンスリーカレンダー画面のほかに、共有相手の投稿を見逃さないための新着フィード画面があります。ユーザーの多くが「TimeTree」を開くとまず確認する場所で、こちらにインフィード広告の形で表示されます。
――そもそも、ユーザーの予定を捉えて広告配信すること自体、御社ならではの仕組みですか?
香川:そうですね、単純な純広告やアドネットワークのみでマネタイズをしているカレンダーアプリは他にもあるようですが、未来の予定にターゲティングできる広告配信のプラットフォームとして展開しているサービスはないと思います。現在、予定にターゲティングする仕組みは特許申請中です。
――予定でターゲティングした配信というのは、たとえば「子どもの運動会を控えた夫婦にカメラを訴求する」といったことでしょうか?
香川:はい、そのとおりです。他にも「引っ越しを控えた人に家庭用のWi-Fiサービスを紹介する」などはわかりやすいと思います。ピンポイントでイベント名を指定するのではなく、現在はカテゴリー単位の指定ですが、これはデータ分析に基づいて随時改善しています。過去の予定もデータ分析しているので、将来的には「映画好きの人に映画公開日をお知らせする」という切り口のメニューも提供を考えています。
吉本:また配信のタイミングもポイントです。「TimeTree」では“予定への意識が高い時”にのみ、広告を表示させます。先の例で言うと、引っ越しする日をスケジュールに登録したタイミングと、引っ越しが近づいたタイミングなどですね。従来の行動データに基づくターゲティングでは、ユーザーが求めていない時に何度も同じ広告を掲載していたり、もっと言えばユーザーがもう不要だと感じている時にも掲載されているケースが多くあります(たとえば商品購入後に、購入した商品の広告が掲載されるなど)。これは、ユーザーにとっても良い体験ではありませんし、広告主様にとっても“広告の無駄撃ち”となってしまいます。
「TimeTree」では、ユーザーが本当に必要としている瞬間=モーメントを捉えた広告配信を行うことができるため、こうした広告の無駄撃ちを防ぐことが可能です。