マルケトの市場を自分が作ると覚悟
――そして、2016年にマルケトへ転職されました。きっかけはなんだったのでしょうか?
マルケトに参画した理由は2つあります。1つは、製品のMarketo Engageに魅力を感じていたことです。当時は別のMAを使ってマーケティングを実施していたのですが、施策が増えるうちに、いくつか運用上の課題も見えてきました。そんなときにMarketo Engageを実際に見て、その課題を解決できるという実感と、純粋にマーケター視点で「良いツールだな」と感じました。ビジネスをスケールするための機能面だけでなく、製品のコンセプトやマルケトが実現したい世界観にも惚れ込みました。
もう1つは、その良いと感じたMarketo Engageを、当事者として市場に広めていきたいという思いがあったことです。当時取り組んでいたデジタルマーケティング事業では、各種ツールを代理店型で提供する形でした。これは、お客様に合わせて複数の製品をご提案できる反面、企業としての方針など様々な要因で、本当に良いと思える製品やサービスに注力できないこともあるかと思います。私自身、特に大きな失敗体験として、自分で良いと思っていた海外ツールを国内に展開しきれなかったことがあります。日本に新しく市場を作ろうと意気込み、思い入れのある製品を担当していましたが、なかなか軌道に乗せることができず、ついにはそのツールが日本市場への参入を一旦見直すことになってしまいました。そのことに不甲斐なさを感じるとともに、本当に良い製品・サービスだと強く思えるなら、代理店ではなく、自らが当事者としてコミットしたいという気持ちが高まり、日本法人を立ち上げたマルケトへの転職を決めました。機能に惚れ込み、マーケターとして大好きなMarketo Engageを、日本に広めたい意志が強かったですね。
マルケト入社後、改めて実務を通しながらデジタルマーケティングを学び直しました。主な担当業務は、リードを獲得して育成し、営業チームへつなげるデマンドジェネレーションと、マーケティング・営業活動に必要なデータの整備やお客様のインサイトを分析する、マーケティングオペレーションの2つです。また、マーケティングとセールスのヘルプデスクのような立場にも立ち、日本法人のためのマーケティングテクノロジースタック設計・運用も担っています。
ウソをつかず、誠実でありたい
――湯原さんが、仕事で大切にしていることを教えてください。

ウソをつかないことです。最近はセミナーなど人前で話すことも増えてきましたが、マルケトに入社してからしばらくは、自分自身がMarketo Engageを理解し、使いこなせていると自信が持てるようになるまで、そういった機会は可能な限り避けていました。もちろん、Marketo Engageが掲げるセールスシナリオは真実ですが、いちベンダーの人間ではなく、一人のマーケターとして、その価値を伝えたいと考えていました。自分で実践をして、試し、納得した上で話したかったのです。これは、お客様に対しても同じスタンスです。たとえマルケト製品に興味を持たれていても、まだ導入すべきタイミングではないと思ったら、違う提案をしたこともありました。クライアントの為にならないことは、やらない。常に誠実でありたいと意識しています。
――難しい意思決定をされていますが、お客様からはどんな反応がありましたか?
後に改めて、「やっとMAを導入できる段階になりました!」とおっしゃって帰ってきてくれるお客様もいらっしゃいました。私たちの目標は、製品を売ることだけではなく、マルケトが考えるコンセプトや顧客体験、エンゲージメントを提供することです。これに共感し、マルケト製品を使いたいというお客様をサポートしたいのです。根底にあるのは、お客様への愛情やパッションですね。仕事に対しては、自分にとって新しいと思うことを突き詰めながら、次の何かを探し続けています。安定よりは、どんなことが起きるのだろうというワクワク感に惹かれます。好きなことにがむしゃらに働くことに、仕事のやりがいを求める傾向はあるかもしれません。