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「大切なこと、同じ言葉で共有できていますか?」三井住友カードの統合マーケティング実現への道が明らかに

2019/11/13 09:00

 9月12日、13日にホテル椿山荘東京で開催された「MarkeZine Day 2019 Autumn」。本記事では、1日目に開催された三井住友カードの原 央介氏によるセッション「キャッシュレスの浸透に向け、三井住友カードが実現する統合マーケティングの体制と取り組み」の模様をレポートする。

目次

三井住友カードが統合マーケティングに踏み出した背景

 三井住友カードは、2018年から統合マーケティングに向けた組織再編を実施。セッションの中では、同社のマーケティング統括部でグループマネージャーを務める原氏が統合マーケティング実施の背景や、大型プロモーション「Have a good Cashless.」の施策内容、全体最適に向けた予算アロケーションの具体的な方法が語られた。

三井住友カード株式会社 マーケティング本部 マーケティング統括部 グループマネージャー 原 央介氏
三井住友カード株式会社 マーケティング本部 マーケティング統括部 グループマネージャー 原 央介氏

 セッションの最初に語られたのは、統合マーケティングに踏み出した背景だ。現在、国内キャッシュレス市場は右肩上がりで成長しているが、その9割以上がクレジットカードの利用によるものだ。そのため三井住友カードは、クレジットカードに興味関心のあるユーザーに向けたプロモーション、具体的にはSEOやリスティング、アフィリエイトで新規ユーザーを獲得していた。

 一方で、他先進国と比較すると日本は依然「キャッシュレス後進国」。先進国各国の多くがキャッシュレス決済比率5割を超えているのに対し、日本は2割程度に留まっている。

 日本は、少子高齢化や人口減少に伴う労働人口減少の時代を迎え、生産性向上やインバウンド消費の取込みは国としての喫緊の課題だ。「キャッシュレス推進」は決済の省力化や流動性の向上、さらには支払データの利活用による消費の利便性向上や活性化など、国力強化につながる様々なメリットをもたらすものと期待されており、政府主導でキャッシュレス推進の機運が高まった。

 「政府は、2025年までにキャッシュレス比率を40%に向上させる目標を掲げました。このような状況下で、私たちもよりキャッシュレス化を加速度的に推進するため、これまで行ってきた検討から獲得のファネルを中心したマーケティングでなく、認知から獲得までのフルファネルのマーケティングに取り組むことを決断しました

統合マーケティングに対応した組織を作る前に

 こうして、統合マーケティング実現に向けて踏み出した三井住友カードだが、いくつかの課題を抱えていた。まず、組織の分断。従来の会員獲得に向けた組織体制では、認知や想起段階のファネルは広告宣伝部門が、申込検討から申込のファネルは営業部門が、またSEOやリスティングなどはマーケティング部門が管轄していた。

 そのため、部分最適が進み、統合マーケティングで全体最適を目指すのは困難な状況だった。であれば「組織改編を行い、1つの部署にすれば良いのではないか?」と考えてしまいそうだが、原氏が最初に取り組んだのは違った内容だった。

 「最初に実施したのは組織の整備ではなく、関係者全員での集中ディスカッションでした。今までの業務の延長線上で考えてはまず対応できない、意識から変えなければいけないと思ったからです。自分たちの頭の中を、今までのクレジットカード会社から、新しいキャッシュレス企業へ切り替える必要がありました」

 ディスカッションでは、「前提」「Why」「How」「What」の4つに関する議題を設定した。具体的な議題とその目的は以下となっている。

前提の議題:キャッシュレスで実現される社会とは何か

目的:未来と現実を認識し、ギャップを共有する

Whyの議題:なぜキャッシュレス社会に向かうのか

目的:顧客理解を得るための目的を明確にする

Howの議題:当社はどう関わるのか

目的:当社が伝えたいメッセージを具現化する

Whatの議題:どんなキャッシュレス決済を提供するのか

目的:提供できるプロダクトを確認する

 これらの議題について、各部署で議論することはきっとあるだろう。しかし、部署によっては認識のズレが生じてしまう。そういったことのないよう原氏は、曖昧になりがちなこれらの議論を、関係者全員で具体化な言葉に落とし込めるよう徹底的に議論した。これにより、すべての関係者にビジョンが共有でき、円滑なコミュニケーションがとれると考えた。

 そして、これらの議論を通じてビジョンの共有を進めていく中で、三井住友カードは新たなブランディングメッセージ「Have a good Cashless.」を制定した。これに合わせて作られたステートメントも、これまでの議論で得られた結論をもとに内容を決めた。

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