SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

チャットコマースの可能性を探る

広告は一方通行から“対話型”へ ユーザーの意思を汲み取る「チャットコマース」の可能性

ターゲティング広告は限界を迎えている?

 ここで、現在のターゲティング広告に目を向けると、先述した「ユーザーの意思」から乖離の一途をたどっていることがわかります。現在のターゲティング広告は、ブラウザのCookie上に発行されるIDに紐づいて蓄積された属性や訪問履歴、検索履歴などでセグメントを分けて広告を配信しています。

 しかし、ターゲティング広告に用いられるデータはあくまで行動の傾向であり、ユーザーの意思とは別の情報です。そのため一度訪れたWebサイトへの再流入を促す企業からの一方的な関係の築き方に、ユーザーは不信感や嫌悪感を抱き始めています。イーライフが実施した「ネット上の個人情報と広告についてのアンケート」によると、約75%がネット広告に対して 不快感を抱いたことがあると回答。さらに、その理由として「最近調べた内容の記事が出てくることは、正直不信感しかない」「監視されているようで嫌だ」などと回答しているのです。

出典:イーライフ「GDPRによる消費者意識の変化とデジタルマーケティングの展望」
出典:イーライフ「GDPRによる消費者意識の変化とデジタルマーケティングの展望」
n=2,388/調査実施期間:2018年4月27日~4月30日

 そして、こうした消費者心理に応えるかたちで今、個人情報保護の観点からCookieの制限も起き始めています。たとえばApple社のブラウザであるSafariでは、ITP(Intelligent Tracking Prevention)が適用され、トラッキングが困難になりました。さらにGoogle社でも、Chromeのプライバシー保護を強化する発表が行われるなど、従来のターゲティング手法では、今後ますます活路を見出すことが難しくなっていくでしょう

広告は一方通行から“対話型”へシフト

 こうした一方通行のターゲティング広告が抱える課題から、今海外で注目を集めているのが「チャットコマース(海外ではConversational Commerce/略称CC)」という手法です。チャットコマースとは、企業・ブランドがユーザーとチャットコミュニケーションを行い、食料品の注文、飲食店の予約、旅行の予約、衣服の購入などを促すというもの。日本では主に、LINEやFacebook Messengerなどのチャットアプリがインターフェースとして使われています。

 たとえばユーザー一人ひとりの趣味嗜好に合わせて、“その時そのユーザーが求めている商品・情報”を提案するという、従来のターゲティング広告ではできなかったアプローチが、チャットコマースでは可能になります。これまでリアル店舗でしかできなかった「接客体験」を、Web上で実現することができるのです。

 “その時のユーザー”に対してパーソナライズされた配信を行うことができるため、ユーザーも提案された商品に対して納得した状態で行動に至ることができます。筆者は、こうしたチャットコマースの特徴は、制限が日々厳しくなり、限界を迎えつつあるターゲティング広告業界を打開するものだと考えています。次ページでは、その3つの理由を解説します。

次のページ
チャットコマースがターゲティング広告業界を救う3つの理由

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
チャットコマースの可能性を探る連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

遠藤 竜太(エンドウ リュウタ)

株式会社Zeals 取締役COO

京都大学大学院ヒューマンインターフェース論 修了。研究者を志し、人と機械のインタラクティブを学ぶ。受賞歴:HIシンポジウム優秀賞など。テクノロジーの社会応用に目覚め、アドテクカンパニーFreakOutに入社、その後Zealsにジョイン。国内最速の2016年からチャットボットを活用したチャットコマースサ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2019/11/20 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32337

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング