モバイルを中心としたクリエイティブを共同で作成
――Instagramにおけるクリエイティブの作り方について、マスメディアとの違いを感じた点はありましたか。
生井:特に悩んだのは、ストーリーズでどのように訴求するかということです。これまで制作してきたのは長尺のテレビCMで、5秒間という短尺でのコミュニケーションは初めてでした。
佐藤:Instagramでは一つの動画に要素を盛り込み過ぎないことがとても大切です。「GUHL」はドイツ発のブランドで、歴史があって、ナチュラルオーガニックで……と、様々な特徴や訴求ポイントがあったため、絞り込むのが難しかったですね。
実際にストーリーズ広告で使用した動画は、約1分15秒のプロモーション動画から、髪に対する悩みとそれに対応する5種類の商品バリエーションがはっきり伝わる部分を切り出して制作しました。
生井:テレビCMではキーコピーやキービジュアルを決めて作り込みますが、Instagramという媒体の特性を把握した上で、複数のクリエイティブを細かく作り分けることにも、慣れていませんでした。
――様々な面で違いがあるのですね。
生井:はい。クリエイティブを一つだけに決めてしまう「最大公約数」的なアプローチでは、個々人によって趣味嗜好が異なるスモールマスには届きにくいと感じます。
Instagramでのクリエイティブの作り方は、テレビCMとは根本的に違います。社内の意識を「まず作ってみる」「作りながら改良していく」という方向に改革していくことにチャレンジしてみました。
お得感より響くのは、“ライフスタイルの提案”
――公式アカウントの運用に関してはいかがでしょうか。
生井:Instagramのアカウント自体は2018年頃から取得していたものの、運用には定期的な投稿が必要なので、ブランド担当だけでは難しさを感じておりました。
最初の頃はお試しセットをアピールするなど、お得感を訴求していたのですが、ブランドの世界観を伝えるInstagramという場所では、あまり相性がよくない事に気づきました。ブランドのファンになって頂けるように、Instagramの役割を皆でで話し合い、投稿する方向性を修正していきました。
佐藤:現在は、ブランドのこだわりや製法を丁寧に伝える投稿を増やされていますよね。メーカーの名前を前面に押し出すことなく、世界観を大切にされていると感じます。
生井:ありがとうございます。Instagramのユニークな点は、ブランドが提案したいライフスタイルをよく伝えてくれるところだと思っています。
「GUHL」はナチュラルであることを大切にしているブランドなので、木製の家具や食器を写り込ませたり、オーガニックな食事を投稿したり。一見、商品とは結びつかないように見えますが、世界観に共感してくれるユーザーとのつながりを作り、それを強めることにつながっています。
――ライフスタイルの提案、という文脈を大切にしているのですね。ECモールへの動線は、どのように設計しているのでしょうか。
生井::2019年5月に当社初の楽天公式ショップとして「YOUR BEAUTY SOLUTION」をオープンさせ、その第一弾として「GUHL」を扱うことになりました。今はこの公式ショップに広告の動線をすべて集めています。
狙いはデータを集め、お客様の動向を把握することです。最近確認した広告レポートでは、リーチに関してはECモール内に掲出した広告のほうが大きかったのですが、コンバージョン率はInstagramやFacebook広告のほうが高い結果でした。このことから、リーチを取りつつ、コンバージョンにつなげるためには、ECモール経由の広告とInstagram・Facebookの広告、それぞれを使い分けるべきだということが見えてきました。