子どもがいるからこそ、やりたいことを選択できる
――これまでのキャリアの中で、ターニングポイントだと感じた出来事を教えてください。
子どもを産んだことです。際限なく働き、自分の時間を自由に使えていた状況から、時間に制限がある中で効率的な働き方を考えなければならなくなりました。しかし、立ち止まって、本当にやりたいことを見つめる良い機会になったかなと思います。がむしゃらに働いていたときよりも、自分にとって何が大切かを考えて選択するようになったのは、子どもの存在が大きいです。
復職したタイミングで、未経験のマーケティングに挑戦したいと異動を決めたこともその影響がありますね。やはり復職時には不安もありましたし、「まわりに迷惑をかけないだろうか」と悩みました。でも「迷惑をかけないわけがない」と言いますか、そこを気にするよりも自分のやりたいことに集中して、結果を出していこうと考えています。
復職のときも転職のときも、会社に対して子育てをしながら働くことを伝え、制限がある中で自分が最大限できることを提案する話し合いができました。そういった点でも、自分自身への制限を、前向きに捉えることができています。まわりが良く見えるようになって、自分がひとまわり成長したと感じます。
そして、やりたいことに取り組み、仕事が充実しているからこそ、家に帰ったら子どもに向き合うというメリハリをつけるように意識しています。母親として、子どもにしてあげられることには際限がありません。ときには、「子どもが望んでいることを、ちゃんとできているだろうか」と思うこともあります。でも個人の価値観として、母親がイキイキと楽しそうにしていることが、子どもにも良いと考えています。もちろん、疲れて遊べないときもあります。でも、家族と仕事、どちらもあるから、今の自分があるんです。毎日を必死に生きています。
子どもたちに楽しく働く姿を見せたい
――今後は、どのようなキャリアを描かれていますか。
大好きなオーストラリアの魅力を、今よりももっと広く伝えていきたいです。オーストラリアは、日本にとって馴染みの深い国であると思うのですが、コアラやカンガルー、自然が豊かというイメージが強いのではないかと感じています。それぞれの州や都市が持つ魅力や、オーストラリアでしか見られない景観、多国籍の食事、ゆっくりとした空気やあたたかい人々など、ディープなオーストラリアの良さを発信し、「次はオーストラリアに行ってみよう」と思っていただけるように努めたいです。
またカンタス航空は、2019年に創業100年目を迎えました。「乗ったときからオーストラリア」と表現しているように、カンタス航空をお使いいただくことで、よりオーストラリアのあたたかみや、ホスピタリティを感じてほしいです。自分が愛しているプロダクトを、お客様にもぜひ好きになっていただきたい。そんなコミュニケーションを取っていけたらと思います。
プライベートでは、子どもの成長に合わせてしっかりサポートをしていきたいです。2人の子どもたちが個性を伸ばし、彼女たちがやりたいことをできるように、今まで以上に時間を大事にしたいです。私が楽しそうに働いている姿を見せることも含め、子どもたちにとって良い母親になりたいと思います。子育てはすごく大変ですし、「世の中のお母さん、みんながすごい」と思います。でも母親だからといってキャリアを諦める必要はありませんし、フレキシブルに働ける会社も徐々に増えてきているのではと思います。自分で要望や貢献できることを伝え、会社と折り合いをつけていくと、道は開けるのではないでしょうか。まず行動してみることが、チャンスをつかむ第一歩になるのではないかと思います。