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MarkeZine Day 2026 Spring

生活者データバンク

購買行動の多面性を捉えるセグメンテーション手法

生活者のプロフィールをドリルダウンする

 トピックモデルを通じて行った生活者のセグメントを購買行動以外の生活者の特徴(意識、生活行動)で深掘りをしてみよう。セグメントに所属する生活者に弊社の生活者360°viewerのプロファイリングデータを紐づけて分析(プロファイル分析)した。低アルコール飲料で特に人気の若年女性が多かったトピック1とトピック10について、図表4に示している。

図表4 トピック1とトピック10のプロファイル(タップで画像拡大)
図表4 トピック1とトピック10のプロファイル(タップで画像拡大)

 トピック1は流行に敏感で、新商品が出ると友人に伝えることが好きなため、クチコミによる拡散も期待できそうな層だ。飲酒頻度も高く、新商品の飲料が出るたびにチェックをしているかもしれない。一方トピック10は、安定・倹約志向が強く、飲酒頻度も低い層である。Webによる情報収集を行い、クチコミによる評判にも影響を受ける層でもあるため、ソーシャルメディアを活用して商品訴求をしていくことなどが有効かもしれない。

 このように、セグメンテーション結果をプロファイリングデータと組み合わせることで、購買の背景や各分類に所属する生活者へアプローチする上でのヒントを獲得することができる。

より実態に近いターゲット層の姿から、次の施策へ

 トピックモデルとプロファイル分析の活用によって、セグメンテーションの解釈を詳細に行いながら、生活者の実態を多面的に理解することが可能となる。これにより、従来と比べてより的確なターゲット層を見つけやすくなる。今回は低アルコール飲料を取り上げたが、これに限らず、アイテムの種類の多様化にともなって生活者の嗜好もますます複雑になっている。その中でもターゲット層を的確に捉えるには、多角的な視点から生活者の姿を分析することが求められる。

 ターゲット層を詳細に捉えられれば、次に打つべきマーケティング施策の内容も決定しやすくなるだろう。たとえば、トピック1のターゲットであれば、FacebookやInstagramなどのSNSへの広告を出す、ファンイベントを開催し拡散を狙う、などが挙げられる。一方トピック10のターゲットには、テレビCMの投下量を増やす、流通へのプッシュ戦略で流通チラシへの掲載を図る、などが考えられるだろう。

 さらに、複数のトピックにまたがる生活者についても様々な施策を打つことが考えられる。実際、今回の分析結果からもトピック1とトピック10の両方にまたがる生活者が見受けられた。その場合には、テレビ広告とSNS広告の両方を使った、クロスメディアでのアプローチも考えられる。このように生活者の実態を多角的に捉えられていれば、より的確で濃密なアプローチをすることも可能になる。

 データ解析によるバックアップで、生活者の真の姿がよく見えるようになった。これにより、独りよがりではない企業と生活者のコミュニケーションが生まれてくるのではないだろうか。

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この記事の著者

岡 律子(オカ リツコ)

株式会社インテージ データサイエンティスト
早稲田大学文学学術院卒業後、インテージ入社。入社後はクライアントのデータ活用案件や広告効果測定サービスの開発などに従事。データ分析を通じて生活者の実態を明らかにし、クライアントの様々な課題解決の支援につなげていく仕事に携わっている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/18 17:27 https://markezine.jp/article/detail/33054

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