ユーザーごとに刺さるキーワードやタイミングがある
クオリティについては「改善し続けていくことが大切」という長谷川氏、つい最近の実体験として、「勝ちパターン」の創出をある程度やり尽くしたと思っていたバナーにおいて、「ほんの一文だけ違う表現をしたところ、普段の倍以上のクリックがあった」と明かす。
スマートフォンの普及により「流し見」が増える中で、どうやってクリエイティブを作るのか、戦略的な考えを持った上でしっかり作らなければならない、と長谷川氏。「ユーザーごとにしっかり刺さるキーワードやタイミングがある」「自分たちが思っているよりもやり方や工夫の余地がまだある」と自戒も込めて語った。
ファンケルではコンテンツ制作をエンバーポイントに外注しているが、これについては「高いクオリティの成果物を作るためには、プロにお願いした方がいいし、その会社とどれだけしっかり共創できるかが大事」との考えがあるからだという。
データ、シナリオ、メディアと3軸に分けるメリット
4つ目の「エンゲージメント強化においてどれぐらいのデータ(量・種類)を持つべきか」は、メールマーケティングで強化すべきポイントとして、「コンテンツの強化」(63.1%)に次いで、「データの充実化」が多く挙がった(57.8%)ことを受けてのものだ。
北村氏が、「オールインワンのMAなど便利なツールの導入が進みつつあるが、高度な取り組みを目指す企業からは、多様なデータを取り込みたいができないなどといった制約に直面しているという声も聞く」として、たとえばMailPublisherとトレジャーデータのCDPなどのように、分野に特価したツールを組み合わせる方が思い描いた通りの施策が実現できるのではないか、と提案すると、長谷川氏も同意した。
ファンケルでは現在、データ、シナリオ、メディアと3つの軸を立てて、それぞれを磨くことが最良という考え方のもとでデジタルマーケティングに取り組んでいる。
その背景として、「長くデジタルマーケティングをやっているとやりたいことが増えてくるが、ツールによっては制約に阻まれてストレスになる。メールは活用範囲が広く特に重要なので他ツールとの連携が柔軟である必要がある。その点MailPublisherは柔軟性が高い」と振り返る。同様に、データ基盤もMAとは別に自社で構築し、購買データをはじめ様々な種類のデータを継続的に追加して活用を図っているという。
データ、シナリオ、メディアをすべて備えるMAツールもあるが、3軸を分けて取り組むことのメリットとして長谷川氏は「自由度の高さ」を挙げる。
「オールインワンのツールではやりたいことに制約が出てくる場合がある。カート放棄の対策だけしたいのであればMAだけでよいかもしれないが、ファンケルとしては柔軟に施策を行い、お客様と長期にわたってあらゆるコミュニケーションをとってエンゲージメントの強化を図りたいのです。だからこそ、データ集積はデータ基盤、シナリオ作成はMAツール、コミュニケーションはメール配信ツールと分けることが有効だと考えています」と長谷川氏は語り、講演を締めくくった。
長期的なエンゲージメント強化に貢献するクリエイティブとは?
MarkeZine Dayでも紹介されたファンケルがコア顧客向けに展開しているフォローメール施策の詳細を大公開。ぜひこちらからご覧ください。