販促目的ではないメールでできること
2つ目の「エンゲージメントを高めるにはどうするべきか」については、アンケートで「販促目的ではないメールを配信している」(35%が回答)、「販促目的ではないメールの重要性を感じているが実施できていない」(50.5%が回答)と、85%もの回答者が「販促目的ではないメール」を重要と捉えていることが明らかになった。
これについて、エンバーポイントの北村氏が「ひと昔前はメールマーケティングは販促が主目的だったが、オプトアウトの最小化が課題として認識されるようになり、考え方や目的設定が変わってきている」とコメントすると、長谷川氏は「ファンケルも以前から販促目的ではないメール配信に取り組んでいる」と明かした。
長谷川氏はさらに、「『買って買って』感が出ると企業価値が下がったり、うっとうしいと思われてしまう」と述べる。「会社や商品を嫌いになってしまうことは、一番避けなければならない」からだ。
そこで、ファンケルの考え方として長谷川氏は、「販促よりもコミュニケーションを優先させる。その中でお客様が必要としている商品を最適なタイミングで購入いただくための後押しをすることが重要」と説明する。
ファンケルではオプトアウトの最小化を非常に重視している。オプトアウトされてしまうと、継続的なコミュニケーションが不可能になってしまうからだ。そこで、オプトアウトに向かうユーザーの導線設計やメール内容の改善には力を注いでいるという。
また、この方針のもと「エンゲージメントを高めるためのメール」を重視した結果、「我々の独自性や価値観をコンテンツとして作りこんでいく必要があるため、結果として競合との差別化にもつながっています」(長谷川氏)という。
長谷川氏は実際の例として、妊活から産後まで幅広くサポートする製品の購入者に送っている販促目的ではないメールを紹介した。商品開発に込めた思いなど製品情報を紹介したり、よくあるQAを掲載することで購入した製品をもっと活用していただくことを目指し、まったくオファーは出していないという。
コンテンツクオリティは大事だが「伝わらない」のはダメ
コミュニケーションで重要になるのが、コンテンツだ。そこで、3つ目の「エンゲージメント強化においてコンテンツはどの程度重要か」となる。アンケートでは「メールコンテンツの強化(表現力、訴求力)」がメールマーケティングで強化すべきポイントのナンバーワンに挙がった。そのメールコンテンツの表現力と訴求力については、83%が「表現力や内容の質をもっと改善したい」と述べた。
これに対して長谷川氏は、「一定レベルのコンテンツを作る」という部分に賛成しつつも、「コンテンツのクオリティが高くて美しければいいというものではない」と異論を唱えた。
「クオリティが高いほどブランド価値につながるし、お客様にメールを見てもらい続けるためにも一定のレベルを満たすことは重要。だが、商品を訴求するために必要なコンテンツであることが前提なので、『素敵だけど伝えたいことが伝わらないコンテンツ』ではいけない」(長谷川氏)ため、事業側とクリエイティブ側の密なコミュニケーションが重要となる。
長期的なエンゲージメント強化に貢献するクリエイティブとは?
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