失敗2.SNSの貢献を過小評価している
リスティング広告やSEOなど、各チャネルのラストクリックコンバージョン数を評価指標に置くのは、Webサイトやデジタルマーケティング歴の長い人にとっては馴染み深い評価かもしれない。
しかし、こうした「部分最適」の発想をそのままSNSマーケティングにも適用し、SNS単体のCPAで評価をしようとすると、SNSの貢献度を見誤る。
ラストクリックコンバージョンで評価されることが多いリスティング広告やSEOと比べれば、SNSの獲得効率は悪く、コンバージョンへの貢献度も低く見えるだろう。
「SEO経由では3,000UUでCVが100件ある。しかしSNS経由を見るとUUが10,000あってもCVは3件しかない。これではROIが合わない。SNSには効果がない」
このように考えたことがあるマーケターも多いかもしれない。だが、ラストクリックコンバージョンで評価していれば「SNSには効果がない」と思うのは当然だ。
そもそも、顕在層へのリーチや刈り取りなどが得意かつ短期的な成果を上げやすいリスティング広告やSEOと比べ、SNSが得意とする領域は潜在層へのリーチであり、アテンションの獲得である。成果への貢献が中長期的にわたることもSNSの特性だ。

アテンションは、購買ファネルの最上部にある。このアテンションを時間をかけて拡張していくと、結果的にCVも広がっていく。こうした構造の最適化にSNSは効果を発揮することを、まずは理解しておこう。
また、SNSが台頭した現代では次の図のような手順で購買行動が起こっていることも覚えておくべきである。

SNSが貢献している購買行動の例。Twitterで商品名を認知し、Googleで指名検索、ECサイトで購入という手順や、
LINEで知りInstagramで検索、さらにGoogleで指名検索しGoogleのリスティング広告から購入に至る
というケースもありうる
指名検索の前にユーザーが商品をSNSで認知していることを見落とすと、「自社の商品が売れたのはGoogle上のSEO効果があったからだ」という解釈に留まってしまう。これではSNSマーケティングを過小評価してしまうのも無理はない。
よってSNSの特性やSNSを通じた購買行動を踏まえたうえで、商品やサービスを中心としたすべての環境を俯瞰し、それらがマーケティング全体に波及する効果を計る「全体最適」の発想で評価を設計するのが有効である。