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MarkeZine Day 2025 Retail

SaaS事業の全体最適を導く「新・組織論」

顧客体験の設計を通じて、SaaS事業の全体最適を導く「パーセプションフロー・モデル」


本モデルによる目標設定の利点(1):LTV向上に向けた全体最適を導ける

 本モデルによる目標設定は、「パーセプション」を中心に顧客体験の全体図を明示した上で、各チームがどのパーセプション変化を役割として持ち、その変化をどの程度の量もたらすべきかを目標として与えるというものだ。まさに、第2回で紹介した顧客起点での目標設定そのものである。

 本モデルに基づく目標設定を行うことによる利点は2つある。まず1つ目の利点は、各チームが異なる役割と目標を追う中でも、「LTV向上」という同一の最終目的に向けて活動できる(全体最適が導ける)ことだ。なぜなら本モデルでは、顧客が継続的にブランドを活用する(さらには口コミに至る)状態を最終的なゴールとし、そのゴールに直結する連続的なパーセプション変化を各チームが追うためだ。

 パーセプションの連続性を担保した下で活動を行う限り、各チームが異なるパーセプション変化の目標を追っていようとも、部分最適に陥らずLTV向上を導ける。

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本モデルによる目標設定の利点(2):「共通言語」として、チーム間の建設的な議論を促す

 また顧客体験の全体像が余すところなく可視化されることで、すべてのチームが一元的に参照できる「共通言語」として機能し、建設的な議論をもたらすという恩恵も非常に大きい。

 つまり、各チームの間で何か問題が起こったとしても、その責任をどちらかのチーム(あるいはその中の誰か)ではなく、この設計図に求めることができる。そして、「今回起こった問題をラーニングとして、この設計図をどのようにアップデートすればよいリード/商談/受注につながるのか」という建設的な議論を導ける。

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 以上のように、本稿では効果的な顧客体験の設計を可能にし、さらにはSaaS事業の全体最適を導く「パーセプションフロー・モデル」という考えとその利点を解説した。そして連載最終回となる次回は、本モデルに基づいて日々の事業活動を行い、全体最適を実現しているUniposにおける事例を紹介する(Uniposは、同名のSaaSサービスを運営している、Fringe81の完全子会社)。

第3回まとめ

・パーセプションは「認識」や「知覚」と訳され、「外部から得た情報をどのように解釈しているか」を指す。パーセプションこそ、人の行動を左右する決定的な要素。

・だからこそ、パーセプションに基づいてマーケティングを管理・計測・改善することで、成功する「必然」のある活動を展開できる。その「必然」の設計こそが、SaaS事業の全体最適には不可欠

・パーセプションフロー・モデルは、その名の通り顧客のパーセプションに主眼が置かれた、効果的な顧客体験を包括的に設計するための考え方。

・パーセプションフロー・モデルによって描いた顧客体験に基づいて目標設定を行うことで、2つの利点を得られる。

・まず、各チームが異なる役割と目標を追う中でも、「LTV向上」という同一の最終目的に向けて活動できる(全体最適が導ける)。

・また顧客体験の全体像が余すところなく可視化されることで、すべてのチームが一元的に参照できる「共通言語」として機能し、建設的な議論をもたらす。

次のページ
補足:パーセプションフロー・モデルの構築前に必要なこと

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この記事の著者

横山 直紀(ヨコヤマ ナオキ)

 Fringe81株式会社 SaaS-Growth局長。東京大学経済学部卒業後、Fringeに入社。入社後は一貫して、消費財メーカーにおけるIMC設計支援~メディアバイイングに従事。2018年からは1年間株式会社エフアイシーシーに出向。『パーセプションフロー®・モデル』(※)を習得し、BtoB向けの本モデル構築サービスを開発後、Fringeに帰任。

 帰任後は、グループ会社が運営するSaaS事業『Unipos』におけるパーセプションフロー・モデルの構築と組織への浸透をリード...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/04/08 15:40 https://markezine.jp/article/detail/33126

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