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リーマン・ショック時、広告費はどう変わったのだろうか?コロナ時代の広告市場を考えるためのヒント

外資/日系、それぞれの広告主の対応は?

 広告主側の動きに目を向けると、当面は広告費を緊縮し、その後は市場の変化に目を凝らせて考えるという企業が多い。米国では、広告主の70%が4~6月期での「計画変更」を想定しているのに対して、7~12月期に関しては67%が「未定」と回答している 。

 もちろん、広告主と言っても対応は様々だ。特に、外資系と日系企業の違いは大きい。同じ業界の中でも、ある外資系プレイヤーでは、グローバルで一律予算カット目標を設定して詳細を練っている中、日系プレイヤーは市場への影響を注視しつつも、いまだプロモーション計画を変えずに進めているところもあった。

 その裏には、見ている市場の違い危機マネジメントスタイルの違いがあるように思う。外資系プレイヤーの多くは、コロナの影響が極めて深刻である国の様子を見ており(もちろん日本も油断できる状態ではまったくないが)、それに反応してドラスティックな削減に踏み切り、トップダウンで日本市場にも同様の対応を求めている傾向がある。

 また乱暴な切り方であるが、外資系プレイヤーの多くは、危機マネジメントのベースの考え方として、まずは厳しく保守的に削減し、そこから市場の反応を見つつ戻していくアプローチが多いように思う。対して、日系プレイヤーは市場の変化をリアルで見聞きしながら細かい調整を加えていくアプローチを好む傾向にある。もちろん、コロナ対策も様々な状況に応じて変わるように、広告主の対策としてもどれが一番正しいということではないが、それぞれのスタイルの違いが、これからの市場の変化にも影響を及ぼしてくると考えられる。

媒体側は、データで効果を示していく必要がある

 とはいえ、どんな広告主であっても、投下する媒体についても、より厳しい目で選ぶモードになってくることは間違いない。こんな状況だからこそ、どんな媒体でも、データを使って自身の効果をしっかりと顕在化していくことが今まで以上に求められる。当たり前なことではあるけれど、ここをやりきれるかどうかで大きな違いは出てくるだろう。

 以上、簡単ではあるが、コロナ・ショックが影響を強めて行く中で、筆者が考えている、見ていることのいくつかをまとめさせていただいた。この原稿を書いている最中でも、様相は日ごとに変わっている。繰り返しになるが、終息も見えていない中、広告市場においても何一つ確かなことは言えず、一つひとつ自分たちで考えていくしかない。この寄稿が多くの方にとって、変化の行く末を考えるヒントになれば幸いである。

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この記事の著者

郡谷 康士(グンヤ ヤスシ)

TVISION INSIGHTS株式会社 共同創業者/代表取締役社長
東京大学法学部卒。マッキンゼー・アンド・カンパニーにて、事業戦略・マーケティング戦略案件を数多く担当。リクルート中国の戦略担当を経て、上海にてデジタル広告代理店游仁堂(Yoren)創業。2015年よりTVISION INSIGHTSを創業し、代表取締役社長...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2020/04/21 08:00 https://markezine.jp/article/detail/33159

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