2008年は「モバイル広告元年」
パケット定額制の普及や通信速度の向上など利用環境の改善を背景に、モバイルインターネットは確実に浸透してきている。利用者増の影響からモバイル向けのサイトであるモバイルメディアも急速に発展。モバゲータウンのブレイクを筆頭に「集客力のあるメディア」がモバイルの中でも次々と生まれ、モバイル広告へニーズが高まっているのが現状だ。
ニーズが高まる中、3月31日にDACは新しい広告配信プラットフォームの「iPS-X」をリリースした。「iPS-X」は「impAct pro」「impAct mini」「impAct dashboard」「impAct report」といった4つのサービスの総称であり、2006年10月にスタートした広告配信プラットフォーム「impAct(TM) Progressive Server」の進化版である。これまでと同様に、ネットメディアの広告ビジネスを支援していくことに加え、「iPS-X」の大きな特徴のひとつはモバイルメディアへの対応だ。具体的には、携帯3キャリアでのユーザーIDを識別し、高度なターゲティング配信、オプティマイズ配信、広告効果測定が可能となり、モバイルメディアへの出稿意欲の高い広告主のニーズに応えるサービスとなった。
今回のパーティーは「iPS-X」お披露目の意味もあり、モバイル業界のキーマンが一同に集まった。パーティーは19時からスタート。立食形式というカジュアルなスタイルだったためか、来場者が積極的に情報交換を行なう姿が印象的だった。パーティーの途中では、テレビ東京で放映されていた深夜番組「ギルガメッシュないと」で有名なイジリー岡田氏が登場。得意の物まねなどを披露し、会場を沸かせる場面もあった。
有力モバイルメディアの「生の声」
パーティーが盛り上がる中、MarkeZine編集部では有力モバイルメディアの方々に、サイトの現状と今後の展開について一言コメントをもらった。以下、各企業からのコメントである。
「モバイル市場の伸びは非常に感じます。実際、弊社サイトの会員数も伸びているので、今後の盛り上がりにも期待しています」(mixi)
「99年末くらいから携帯サイトを運営していました。新聞社のコンテンツを生かしたサイト作りにこだわっていて、10個以上の公式サイトを持っています。モバイル広告は確かに伸びてきていると思いますが、ウチの場合は課金収入の割合がまだまだ大きいので、これからといった感じですね。先行者メリットを生かして攻めていきたいと思います」(朝日新聞社)
「公式サイトをいくつか運営していますが、広告売上という意味ではまだまだです。当然伸びていくジャンルだと思いますので、今後チャレンジしていきたいと思います」(ベネッセコーポレーション)
「PC、モバイル双方でサイトを展開していますが、広告売上という意味では、実はモバイルの方が大きいです。早くから、モバイルと連動していた先行者メリットもあると思いますが。課金ビジネスと広告ビジネス、双方育てていきたいですね」(TSUTAYA)
各社の声を聞くと「課金ビジネス」を基盤としている会社がまだまだ多いと感じた。しかし、課金ビジネスはいま成熟期を迎えているため、モバイル広告への期待値は各社とも高いのだろう。モバイル広告市場が、今後も順調に成長していくのであれば、広告を収益の柱として考えるサイトがより増えてくるのは確実だ。DAC 取締役CTO 徳久氏も「モバイル広告市場はこれから確実に伸びていくと思います。媒体社と広告主がともに幸せになれるようなサービスをモバイルでも提供していけるよう、がんばっていきたいと思います」と語る。ここ数年、ネット広告市場の伸びばかりが注目されていた感があるが、モバイル広告市場が本格的に動きだす年に今年はなるのかもしれない。
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