DXとUXは表裏一体
――本日はKaizen Platform 代表取締役の須藤憲司さんにお話をうかがいます。須藤さんはこれまでもDXの重要性や実行ステップについて、書籍などを通じて発信をされていますが、今回の新型コロナウイルスに関する動きをどのように見ていますか。
須藤:外出自粛への対応として“やむを得ず”デジタル化を進めている、という声が上がっているように、DXは「守り」の取り組みとみなされることが多いのですが、DXはむしろ圧倒的な競争優位につながり「攻め」にも「守り」にもなるものだと考えています。
なぜかというと、UXの改善とDXの推進は表裏一体で、両軸で進めていくものだからです。たとえばECのユーザー体験を改良しようと注文時の画面などを改善したとすると、その裏側で、受注や発送の管理といった業務プロセスにもテコ入れすることが必要ですよね。逆にDXプロジェクトに取り組むならば、それをUXに徹底的に還元していかなければ、ビジネスは成長していきません。今回のコロナで明らかになったのは、多くの企業ではUXの裏側にある業務プロセスが痛んでいたということだと思っています。
リモートワークで顕在化した4つの課題
――ではリモートワークへの急激なシフトが行われている現在、Kaizen Platformさんに寄せられている相談には、どんなものが多いのでしょうか。
須藤:いろいろな業界に共通して言えることは、次の4つです。
1. コールセンターの受電率低下
2. 資料送付/商品の遅配
3. 対面アポイントの困難化
4. コア業務の稼働低下
須藤:3つ目の「対面アポイントの困難化」は、オンラインでの営業活動の難しさを物語っていると思います。これまで複雑なソリューションや高度な説明を要求されるソリューションには、多くの場合フィールドセールスが入っていましたが、それは相手の課題を引き出して解決を図るため観察やヒアリングがとても大切だから。現在は、言うなれば「全員が突然インサイドセールスになった」状況です。
具体的には二つの難しさがあると思っています。まず、皆さん痛感されていると思いますがリモートで話を聞くのはとても疲れるんです。対面で30分の説明を受けるのはそれほど苦痛ではありませんが、リモートの一方通行だと10分が限界。商談では今までとは違うプレゼンをしないといけないことになります。これまでの営業のトッププレーヤーを想像すると、話がうまい方が多かった。でもオンラインでは、聞くのがうまい人が重宝されると思っています。