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同じ会社にいても、成長は加速できる。DeNAのヘルスケア事業マーケ責任者が語る、キャリア論

健康寿命の促進につながるDXを

MZ:では、ヘルスケア事業でどのようなお仕事をするのか教えてください。

今西:健康管理をサポートするアプリの「kencom」事業で、健康保険加入者や国民健康保険加入者のレセプトデータ、健診データ、歩数などのライフログの3点データを分析し、健康を促すアクションを提示し、「楽しみながら健康に」なってもらうアプリのマーケティングやビジネス企画全般の仕事です。いろいろなデータを扱って整備して、打ち手を考えると言う意味ではDXですね。ここで言うDXの定義は、「ITの浸透により、人々の生活が根底から変化し、より良くなっていく」という、エリック・ストルターマン教授の定義ですね。

今西:DeNAのヘルスケア事業ではインターネットとAIで医療の課題を解決することを目指しており、「シックケアからヘルスケア」をビジョンに掲げています。kencomでは、病気にかかる前に、心身のケアを楽しみながら行える機能をアプリとして提供しています。

 そして、kencomの提供により医療費の増大を抑え、医療費の適正化を目指していこうとしています。

MZ:健康保険組合や自治体のDXということですが、具体的にはどのような方法で推進していくのでしょうか。

今西:健康増進に役立つ情報配信や日々の歩数の自動記録のほか、ゲーミフィケーションを取り入れたプログラムなどの機能を備え、お客様が日常生活で楽しみながら気軽に健康増進活動に取り組んでいただくことができるという状態を作り出すことです。その結果として、kencom利用者と非利用者における健康状態の差分を分析し、kencomが健康に役立つことを立証していく取り組みを行っています。

 また、データを分析するだけでなく、保険会社様と連携して、新しい商品開発を行うといったことにも取り組んでいます。

MZ:直近携わってきたゲームとは、向き合う相手や取り組みの内容が大きく変わっていますが、ヘルスケア事業のマーケティング事業で成し遂げたいことはありますか。

今西:社会的意義や世の中に影響を及ぼす施策を仕掛けたいです。これまで、何か行動した際に健康に結びつくかどうかのエビデンスが明確でないケースが多かったと思います。今後DXを推進していき、データを活用して健康につながるファクトを出していければと考えています。

 また、ゲームのときはマーケティングの中でも、プロモーション領域に関わる仕事がメインでしたが、ヘルスケア事業ではデータマネジメントの領域が中心となるので、そこに関わるスキルセットを磨いていきたいです。

磨くべきは環境適応能力、時間の使い方、楽しむ力

MZ:読者の中にはキャリアに悩んでいる、不安を抱えている方もいると思うので、最後にそういった方に向けてアドバイスをお願いできますでしょうか。

今西:キャリア形成する上で3つのポイントがあると思っています。1つ目は、環境に適応する能力を身に付けることです。新型コロナウイルスが猛威を振るい始め、仕事はテレワークが中心となるなど、職場環境が大きく変わったという方も多いと思います。

 その中で、オンライン会議をスムーズに進行する力やオンライン上のプレゼンスキルを磨くといったことが求められるし、そこに対応できないようではいずれ淘汰されていきます。変化する環境の中で、自分の居場所が確保できるよう、日々様々なスキルセットを身に付ける努力が重要です。ダーウィンも、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」と言っていたのは、まさに現代社会へのメッセージかと思います。

 2つ目は、時間の使い方を考えるということです。成長したければ、インプット量が大切です。インプットする上では、本を読んだり、OJTで身につけたりと色々ありますが、自分より実力のある人と過ごす時間を増やしていくのが一番手っ取り早いと思います。ただ、実力のある人も時間は有限なので、一緒に過ごしてもらうために自分が提供できることを考えましょう。そうした時間の使い方が、後の成長にもつながってきます。

 私は優秀だなと感じる人と会った時に必ずする質問は、「○○さんが感じる優秀な人って誰ですか?」です。これで名前が上がった人にコンタクトを取りに行くとどんどん優秀な人に巡り合えるし、どうせならば自分自身も名前を上げてもらうようにならねばなりません。自分がいないところで、他己推薦されるようになるには、どういう能力が必要なのかを考えるのも良いかもしれません。

 そして、3つ目は楽しむ工夫をすることです。楽しみながらスキルを積み上げて、市場価値を高めていけることが重要です。

MZ:どれも非常に重要なポイントですね。自分の市場価値を把握するのは非常に難しいと思いますが、そこはどのようにして見定めていくのでしょうか。

今西:いろんな領域のマーケターの方と会話をすることですね。そこで自分が会話についていけるかどうかを感じて、自身のポジションを探るようにしています。

 ただ、3つとも謙虚さがあってこそできることだと思うので、誰からも吸収する姿勢で3つのことに取り組んでほしいです。

MZ:今西さん、ありがとうございました。今後のヘルスケア事業のチャレンジも、楽しみにしています!

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/05/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/33330

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