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カスタマーマーケティング、その本質と実践

カスタマーサクセス視点から「カスタマーマーケティング」について考える

サクセスを中心としたマーケティング活動とは

1.カスタマーマーケティングの目的は顧客のサクセスの後押しである

 「カスタマーマーケティングはカスタマー“サクセス”マーケティングである」と位置づけた場合、この主張に異論をはさむ人はいないでしょう。元々私はカスタマーマーケティングを、「既存顧客に対するカスタマーサクセス主体のマーケティング活動である」と定義していましたが、改めて思い直せば、そこには“サクセスを中心とした”という思想があったように思えます。

 マーケティング活動を行うに当たって、私がメインコンテンツと位置づけたのは、いずれもサクセスを果たした既存顧客たちでした。マーケティングを通して自分たちのプロダクトやサービスに対して良いイメージを持ってもらいたいのだからこれは当然のことです。しかしながら、今回、上記の思想を明確に持つことで、自分たちが対象とすべき顧客や、打ち出すべきコンテンツの輪郭がハッキリとしてきました。

2.その目的に至ることをゴールとした場合、ハイタッチ~テックタッチなどのタッチテクニックは単なる手法論と整理される

 カスタマーサクセス界隈で、「私はカスタマーマーケティングを担当しています」と言った場合、テックタッチをベースメソッドとしたコンテンツ制作や情報配信をイメージされることも少なくないのですが、考えてみればこれは乱暴な話です。ハイタッチ~テックタッチと呼ばれるカスタマーサクセスメソッドは、あくまでメソドロジー(手法)であって目的ではありません。なのにこれまで、カスタマーマーケティング≒テックタッチと誤認されてきたのは、1で説明したカスタマーマーケティングの目的が不明瞭であったからに他ならないでしょう。

 顧客のサクセスを後押しするマーケティングが、カスタマーマーケティングだとすれば、ハイタッチ~テックタッチなどはそれらを達成するための手法論と自然に位置づけることができます。

3.カスタマーマーケティングの対象は既存顧客に限らないが、「サクセス顧客⊂既存顧客(部分集合)」であるため、マーケターは顧客の成功体験に精通している必要がある

 カスタマーマーケティングの重要な活動の一つに、サクセス顧客の事例制作~デリバリーがあります。

 少し話がそれますが、私の所属するSansanでは、マーケティング部門が作る新規顧客向けの「Sansan導入事例」以外に、カスタマーサクセス部門が作る既存顧客向けの「Sansanサクセス事例(ユーザー事例)」があります。導入事例とサクセス事例の違いは、導入事例が顧客がサービスを導入した経緯を中心に語られているのに対して、サクセス事例は顧客がサクセスするまでの道程(苦労話)を中心に語られていることです。最初は「既存顧客のサクセスの参考になれば」と作り始めたのですが、そのうち営業の方から「新規顧客の惹きつけにも十分使える」と言われるようになり、今では新規・既存顧客を問わずに広く紹介しています。

Sansanサクセス事例(ユーザー事例)

 カスタマーマーケティングの目的を顧客のサクセスとした場合、その前例である「サクセス事例」を作成し、新規・既存顧客を問わずにシェアすることは自然でしょう。今思えば私もサクセス事例を作り出した時、直感的にその目的を理解していたのかも知れません。

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顧客とサービス提供側、両者が果実を得られることを目指す

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この記事の著者

山田 ひさのり(ヤマダ ヒサノリ)

大学卒業後、ゲームプログラマーとしてキャリアをスタート。 その後Web開発のPG/SEを経て、スタートアップのビジネス開発に興味を持つ。 2013年「世界を変える新たなビジネスを」という考えに共感し、Sansan株式会社に入社。現在はSansanのカスタマーサクセス部で、全体戦略の立案と既存顧客とのエンゲージメント...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/02 09:00 https://markezine.jp/article/detail/33402

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