Afterコロナの世界につなぐ継続発信でブランド接点を維持
コロナ禍で外出が制限されることで需要減となっている市場においては、Afterコロナに向けたポジティブな情報発信をする動きが出てきています。
zone C事例:需要減+ブランドスイッチ頻度が高い(低価格帯)の象限。ファッション、美容、外食など
たとえば、美容界では“おこもり美容”という文脈が生まれました。外出自粛している今のうちに普段できない特別なケアをしておこうという動きです。各メーカーが“おこもり美容”に適した商品を選定しTwitterアカウントでのプレゼントキャンペーンを活発に実施しています。
また外出自粛によって苦しい状態にある外食市場では “先払い”“エール飯”という文脈が出てきています。福岡県のIT企業がはじめた「さきめし」は、行きつけの店に飲食代金を先払いして支えようというサービス(総エンゲージメント数2,723)。応援の気持ちをこめて飲食代を先払いし、落ち着いたら食べに行こうという活動です。
また別府市が始めた「#別府エール飯」は、別府市内の飲食店でテイクアウトした料理を撮影し、SNSに投稿、PRにつなげ、飲食店のテイクアウト需要を支えようという活動です(総エンゲージメント数2,286)。
いずれもAfterコロナの世界へ自分たちの好きな店、おいしい店をつなげていこうというストーリーがあります。
zone D事例:需要減+ブランドスイッチ頻度が低い(高価格帯)の象限。旅行、宿泊、外出娯楽、レジャーなど
zone Cと同じく先払いの発想や、また会える日までオンラインで発信し続ける、という動きが出ています。
たとえば、CHILLNNの提供する宿泊予約プラットフォームは、「#安心な世界で旅に出ようぜ」というメッセージのもと「未来に泊まれる宿泊券」に特化したECサービスとなっています(総エンゲージメント数3,836)。
また同社は、ホテルシェルターというプロジェクトも実施。稼働率の低くなっているホテルを、家族に感染させられない人や家庭内にトラブルを抱えた人などが安価に利用できる場所としてマッチングさせるプロジェクトです(総エンゲージメント数29,395)。
この他外出娯楽の市場では、吉本興業が「#吉本自宅劇場」を開始。「直接会えるその日まで」のメッセージのもと芸人たちが自宅で撮影した動画やZoom活用したリモートライブを発信し続けています(総エンゲージメント数504,884)。
コロナ禍によって需要が減っているzone Cとzone Dでは、“今だからこそできることをやっておこう”“未来に向けて今は支え合おう”といったAfterコロナの世界へとストーリーをつなぐ動きが多くのエンゲージメントを集めています。
外出自粛という急激な環境変化によって需要が減っていますが、生活者の潜在的なニーズが消え去ったわけではありません。Withコロナでの生活者インサイトを捉え続け「今できることは何か?」を問い続け、生活者との接点を持ち続ける努力は、必ずAfterコロナでの絆形成~プラスのビジネスインパクトへとつながっていくはずです。
たとえば、中国では一足先にコロナ収束が見えてきており、「リベンジ消費」という動きも出てきています。日本国内で「リベンジ消費」が起こせる時期はまだ誰にも明確にわかりませんが、今後状況は必ず変わるはずです。