SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

シェア拡散されるブランドストーリー

コロナ禍で激変するマーケティング。4タイプで今後を見通す

 その時々の時流に合わせ、各コンテンツがシェアされる理由を分析してきた本連載。今回は、新型コロナウイルスの影響で大きな転換期を迎えているマーケティング業界がどのような変化を迎えるのか4つのタイプに分けて解説します。

コロナ禍での市場変化を4つのタイプで見る

 スパイスボックス 事業統括責任者の森竹アルです。これまで本連載では、企業プロモーション事例の他、映画や音楽、政治など幅広い分野のコンテンツがソーシャルメディア上でどのようにシェア拡散され、生活者からどのように反応されているのかを解説してきました(前回記事はこちら)。

 今回は、新型コロナウイルスの影響で大きな転換期を迎えているマーケティング市場が今後どうなっていくのかを見据えていきたいと思います。以前弊社の咲本がご紹介した「ブランドエンゲージマップ」(以前の記事はこちら)の分類をベースに、コロナ禍(ころなか)での影響を加味して見ていきます。

 以前の「ブランドエンゲージメントマップ」では、ソーシャルアクティブ度(SNS上での話題量)、ブランドスイッチ頻度(価格帯)という2軸で分類していましたが、今回はコロナ禍での市場の変化をタイプ別に整理するため需要(コロナ禍での需要の増減)、ブランドスイッチ頻度(価格帯)の2軸で分類します。

◆需要:コロナ禍の影響による需要の増減。
    自宅で活用されるものは需要増、主な活用シーンが外出時となるものは需要減とした。

◆ブランドスイッチ頻度:ブランドスイッチがどれだけ起きやすいかを表す。
    商材の「単価」を指標に定義し、「単価=1万円」を中央値とした。

 この分類をもとに、個々の象限(本記事ではzone A~Dと呼びます)に当てはまる業種・業態の企業における取り組みのうちエンゲージメントが高い事例をもとに傾向を見ていきます。

 今回紹介する内容は現在起きている数多くの事例から切り取ってきた、ごく一部に過ぎません。今重要なのは、各社の取り組みと生活者の反応をできるだけ幅広く情報収集し、SNSを通じた生活者のトレンド変化を察知しインサイトを得ることです。ぜひ本記事を、少しでも取り組みの参考にしていただけたらと思います。

【調査概要】
・対象期間:2019年12月1日~2020年5月1日
・対象SNS:Twitter/Facebook
・spiceboxオリジナルツール「THINK」にて集計。

おうち時間拡大によるインサイトを捉えサービス/知恵を無償提供

 まず縦軸となる需要の増減別に見ると、需要増=「Withコロナでの応援」、需要減=「Afterコロナにつなげるストーリー」と傾向がはっきりと分かれてきます。具体的な事例を交えながら見ていきましょう。

 コロナ禍でテレワーク、自粛生活、おうち時間の拡大によって需要が増えている市場では、急激な環境変化から来る不自由さに戸惑う生活者に向け、積極的にサービスや知恵を無償で提供する動きが活発化しています。

zone A事例:需要増+ブランドスイッチ頻度が高い(低価格帯)の象限。
        食料品、日用品、トイレタリー、エンタメなど

 たとえば、クックパッドでは有料機能である「人気順検索」の無料開放をはじめ、毎日の料理の負担を軽減するため「負担軽減お助けレシピ」というカテゴリーを新設しています(総エンゲージメント数68,548)。集英社は「週刊ヤングジャンプ」の半年分を期間限定で無料公開(総エンゲージメント数4,392)、メルカリは著名な作家陣によるオリジナル短編小説をメルカリ公式Twitterにて連載しています(総エンゲージメント数39,113)。

 これらはほんの一部であり、他にもこの象限に当てはまる企業は、おうち時間の拡大によって生じる消費者インサイトに寄り添った取り組みが多いのが特徴です。

 またトイレタリーメーカー各社は感染予防に直結するアクションを実践しています。コーセーは保育園にアルコール配合ハンドクリーナーを無償提供し、資生堂は手荒れに配慮した手指消毒液を開発し処方を他企業にも開示するなど、これらはマーケティング云々ではなく、共通の未曾有の危機に対する企業の社会的責任のもと起こしているアクションと言えるでしょう。

zone B事例:需要増+ブランドスイッチ頻度が低い(高価格帯)の象限。運動不足解消や自宅学習、テレワーク化にともなう家具・家電など

 たとえばナイキでは#PlayForTheWorldというテーマのもと、自宅でできるワークアウトを大々的にサポート。ナイキトレーナーによるワークアウトのライブセッションを公式YouTubeで配信したり、トレーニングアプリ「Nike Training Club」内でナイキが契約している世界的なトップアスリートと競えるオンラインワークアウトプログラムを実施していたりします(#PlayForTheWorldでの総エンゲージメント数は599,530)。

 小学館は自宅学習中の子どもたちに向け、「小学館版学習まんが 少年少女日本の歴史」を全巻無料公開(総エンゲージメント数15,984)、オンライン学習アプリ「N予備校」では、オンライン授業の無料開放を行っています(総エンゲージメント数51,881)。

 コロナ禍によって需要が高まったzone Aとzone Bでは、このようにおうち時間拡大によって生まれるインサイトを捉えサービス/知恵を無償提供する動きが多くのエンゲージメントを集めています。このような、Withコロナにおける生活者への応援が主流となっています。こういった動きは今後のブランドファン拡大にもつながっていきそうです。

 さらには、今後テレワーク・自宅学習状態が長期化~一般化していくと、自宅環境を整備するニーズがますます高まり、住宅設備だけでなく住宅そのものに対する需要も高まっていきそうです。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
Afterコロナの世界につなぐ継続発信でブランド接点を維持

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
シェア拡散されるブランドストーリー連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/05/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/33438

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング