SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

クリックの先の世界へ「D2Cビジネス」の進化と変貌

【「D2Cビジネス」の進化と変貌】第1回:広告・マーケティング業界に起きている3つの大きな変化

広告(メディア)・マーケティングに起きた3つの変化

 MarkeZineの読者や私たちが関わる、広告(メディア)・マーケティングにおける変化は3つあると考えている。

・広告費の逆転(インターネット広告≧テレビメディア広告)

・多種多様なデバイスの登場

・データの活用とデジタルマーケティングの普及

広告費の逆転(インターネット広告>テレビメディア広告)

 3月に電通から発表された「2019年 日本の広告費」では、初めてインターネット広告費がテレビメディア広告費を超え、かつ一気に2兆円を超えた。かねてからプラットフォームサイドから指摘されていた「物販系EC」上の出店事業者の広告費を今回より加えたため、大きく増加した。

 ここからもわかるように、プラットフォーマーなどからの話を総合すると、インターネット広告費の半分以上は、中小企業からの検索や獲得系の広告が占めている。それがテレビ広告との大きな違いであり、今後の成長の可能性を秘めている。

 そこから考えると、大手・中堅広告主からのインターネット広告費は、1兆円弱と思われる。テレビ広告費が1.9兆円弱なので、大手・中堅広告主においては、テレビの約半分をインターネット広告に費やしていることとなる。

多種多様のデバイスの登場

 一体どのくらい、国内には広告を表示できるデバイスがあるのだろうか? 統計上も正確にはわかっていないと思うが、2020年の内閣府の消費動向調査によると、カラーテレビ普及率は単身世帯で89.5%、2人以上の世帯で96.0%で、それぞれ平均1.51台、2.21台保有している。ちょっと古いが2015年の総務省統計局のデータではそれぞれ単身世帯1,842万世帯、2人以上の世帯3,491万世帯となっており、それらの数字を掛け合わせると1億台弱近くのカラーテレビが国内に普及していると推察できる。

 一方、デジタルデバイスは、2020年の携帯電話契約者数(スマホ、ガラケー)が通信3社で約1.8億台(TCA調査、2020年)。PCは、個人のインターネットでのPC端末利用者が約5,400万人(総務省調査、2017年)と推察されるので、会社利用や複数持ちを考えると1億台程度。その他の端末を考えると、3億台前後の広告表示が可能なデジタルデバイスがあるのではないか。ちなみに私はPC2台、スマホ2台、タブレット2台の計6台を個人および会社で所有している。

 結果、デジタルデバイスはテレビ受像機の約3倍(推定)の数が存在することになる。

データの活用とデジタルマーケティングの普及

 かつての広告、マーケティング業界におけるデータとは、テレビの視聴率とGRP、新聞、雑誌の発行部数と閲読率、チラシやDMの配布部数とその反応数、および限定的な人数での生活者意識調査、行動調査、CM好感度調査などが主なものだった。

 今では、そのデータの取得方法にオンラインが加わり、上記の調査系データに比べ、(1)リアルタイム性(調査後でなく)、(2)全数(パネルでなく)、(3)実数(比率でなく)、(4)個別個人(匿名で)という点でそのデータの有用性が格段に上がった。

 データの種類としては、(1)メディア接触データ(オンライン広告)、(2)行動データ(検索や発信、位置や来店)、(3)購買データ(ECや実購買)、(4)評価・評判データ(SNS、EC)、(5)意識データ(データからの推定やアスキング)など活用するには十分な量と質が揃ったと言える。

 これらのデータにより、生活者インサイトの深堀、仮説の設定、ターゲットの設定、広告やマーケティングの効果測定、検証、改善のPDCAが可能となった。

 一方、課題としては、データは工夫すればいろいろ取得できるようになってきてはいるが、「どう仮説を立て」「どのようなデータを集め」「どう分析して」「どう実施案に落とし込むか」といったデジタルマーケティングのプロセスが複雑になり難易度が上がってきているため、それらを統合的に判断し実行できるマネジメント、マーケター、アナリストやプランナー人材およびその経験者が限られていることである。今後、業界、会社、社内でどのような経験を積ませ育成していくのかも課題となるだろう。

 また、企業の保有する「1stパーティーデータ」が最も顧客を正確に示すデータとなるので、その集め方や保管、分析の方法などの整備も必要であろう。かつてベンダーに勧められてツールの導入をしてみたものの、有効に活用されずにそのままという話もよく耳にする。

次のページ
企業(クライアント)の4つの変化

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
クリックの先の世界へ「D2Cビジネス」の進化と変貌連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

大山 俊哉(オオヤマ トシヤ)

 1984年に電通に入社。2007年にデジタルビジネス局に異動し局長就任、その後、ダイレクトマーケティング・ビジネス局長を歴任。2014年4月に執行役員就任。デジタルマーケティング、インターネットメディア、データソリューション、プロモーション領域の責任者としてグループ会社も含めて統括。2016年7月に電通デジタルを...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/06/23 09:00 https://markezine.jp/article/detail/33499

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング