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「日本の広告業界はちょっと会いすぎだった」リモート先進企業が語るクリエイティブ制作の現在と未来

広告業界の課題は「会いすぎ」「会議が長すぎ」

――リモート制作を行うことでわかってきた、広告業界の課題は?

佐々木:移動にも会議にも時間がかかりすぎていたことです。特にミーティングが長くて多いのが課題です。今まで企画を考えて、パワポの資料を大量にプリントアウトして、30分移動してクライアントのところへ行っていた。こんな膨大な手間と時間がかかることを、何回も繰り返していたわけです。

 ところが在宅勤務をしてみたら、こうしたプロセスの多くから解放されて楽になりましたよね。そもそもWebサイト制作は制作物がオンライン上のものですし、映像もPC上で編集しているものですから、リモートでもこれまでとやり方は大きく変わりません。むしろリモートによって生じるメリットも多くあり、その中には今後も残っていくものがあるのではないでしょうか。

 そう考えると、今まで日本の広告業界はちょっと「会いすぎ」だったんじゃないかと思います。会食も多すぎました。例えば海外ではクライアントと会食するって、とてもスペシャルなことらしいですね。大きなディールが決まった時とか。

 もちろん私も、居酒屋から生まれるアイデアや、エンドレスな会議の中で出てくるクリエイティビティは好きなんです。コロナ前は1日2件別々の会食に行き、それも仕事だと思っていたくらいなので。でも今は飲みに行かなくても、十分仕事ができています。それでも飲むのはやはり楽しいですし、好きですけどね(笑)。

――「Remote Natives」に対する、広告主の手応えは?

佐々木:「対応が早い」と言われました。緊急事態宣言からほんの10日ほどでリリースしたので、みんなに驚かれましたね。おかげさまで、リリース直後から「組みたい」という声がたくさん寄せられています。大手広告会社や上場企業の経営者とすぐにリモートで打ち合わせをしてプロジェクトを始めるべく話を進められました。

大量の資料よりもコミュニケーションを密に

――これから日本のリモート制作現場が整えるべき環境とは?

佐々木:これを機に、制作現場・意思決定フロー含め、デジタル化を一気に進めることです。これまで広告業界では、デジタルクリエイティブは増えつつあったものの、労働環境面や経営意思決定フローにおいてのDXはなかなか進んでいなかったと思います。

 しかし在宅勤務が当たり前になった結果、仕事環境のデジタル化も進み、短時間のビデオ会議でものごとを決めたり、納品がデジタルで完結したりするようになり、業界全体が半強制的にデジタル化していきました。

 広告業界で働く皆さんも、「デジタルを使えば、もっと効率的に仕事ができる」と気づいたのではないでしょうか。自粛が解除されたからといって、せっかく手に入れたやり方を手放すのではなく、「新しい生活様式」として取り入れた方がいいと思います。

 もしかしたらこれまでたくさんの資料を持って、完璧に準備されたプレゼンテーションを受けていたクライアントにとっては、不安かも知れません。けれど、そうしたプレゼン資料がないことで、クライアントも自社のプロダクトやブランドが持つ課題に真摯に向き合うようになるし、クリエイター側も顧客の本質的な課題に踏み込むようになると思います。

 大切なのは、100ページのプレゼン資料を作るより、1,000通チャットして「コミュニケーションを密に」することだと思っています

――今後の展望は?

佐々木:クリエイティブ業界全体のDX・GX(グローバル化)を推進し、よりよいカスタマーエクスペリエンスを提供したいです。それからより多くのクライアントや広告会社が、本質的な課題設定ができるようにサポートしたいですね。

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この記事の著者

石川 香苗子(イシカワ カナコ)

ライター。リクルートHRマーケティングで営業を経験したのちライターへ。IT、マーケティング、テレビなどが得意領域。詳細はこちらから(これまでの仕事をまとめてあります)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/24 09:00 https://markezine.jp/article/detail/33546

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