既存の商品・サービスでは「広告・宣伝」にUGCを活用

しかし、既に販売している商品やサービスに関しては、製造ラインやサプライチェーン、カスタマーサポートなど、既存の商流を基準とした販売システムが確立していることが多く、前述してきたD2C的マーケティングサイクルに対応した商品開発や改善スピードの制約になることが少なくありません。
その場合は「UGC」を広告宣伝に活用することから始めてみると良いでしょう。UGCの広告宣伝活用は、主に「訴求点の把握」と「施策効率の改善」の2パターンです。
UGCから訴求点を把握する
企業側から把握できない消費者目線の訴求点をUGCから見出す
広告・宣伝において企業目線のメッセージはどんどん伝わらなくなってきています。そして企業側としても、生活者に刺さる訴求ポイントは何かを見つけるのがとても難しくなっています。だからこそ、実際の利用に基づいたUGCに表出している顧客体験を把握することで、企業だけではたどり着けなかった訴求点が見つかったり、イメージできなかった表現が可能になったりするのです。
外反母趾や扁平足、O脚など足のトラブルに特化した靴ブランド「AKAISHI」では、厚くて柔らかいインソールの商品の特徴を「ふわふわ」と表現して販売していました。ある時、商品モニターがブログレビューの中で「ふわとろ」と表現しているのを発見し、ブランドのコピーを「ふわとろなはきごこち」に変更したところ、売上が一気に伸びました。

また、以前は機能訴求が中心だったサンダルも、ファンのUGCをヒントに「40代の私でもはける」というコピーに変えたところ、過去一番のアクセス数を獲得し大きな売上につながりました。
どちらの事例もブランドが考えていたラインよりも一歩踏み込んだ表現ではありましたが、社内において「お客様に伝わるためにこういう表現までやるべきだ」と、消費者目線の認識を改めるきっかけになったそうです。
UGCは個々のポテンシャルを把握し適材適所で活用する
企業目線のメッセージは刺さりづらくなる一方で、Instagram上のUGCやクチコミを参考に購入の意思決定を行う生活者が増えてきています。しかし、多くの企業はまだ、SNS上にUGCを発生させたり、LPやECサイト上に表示したりしているだけで、UGCをマーケティング全般で戦略的に活用できているとは言えない状態です。これではUGCがどの程度購買行動に作用しているのか、把握することもできません。
UGCは千差万別で、一つひとつの影響力が違うため、その違いを把握した上で適所で活かさなければ、成果を最大化することは難しいのです。
メンズスキンケアブランド「BULK HOMME(バルクオム)」では、以前から、顧客が購入した商品を自然発生的にInstagramにアップしていることは認識していました。そこで、このUGCを広告クリエイティブとLP上のコンテンツとして活用し、表現が異なるUGCパターンをABテストで検証しながら改善を重ねたところ、広告効率や成約率など定量的な成果が大幅に改善しました。

D2Cコスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP」を展開する「DINETTE」は、ユーザーとの関係深化に注力し、SNSでの活発なコミュニケーションを重視したマーケティングを行っています。
UGCをLPやECサイトに掲載する際も、デザインやトンマナを合わせ、サイト上でのユーザー体験を害さないように工夫していますが、UGC毎にCTRやCVRを検証することで、定量的な効果向上につながるUGCの成功パターンが見えてきたと言います。
