需要が復活するタイミングで第一想起を取れるかが重要
MZ:各業界の企業はどのようなアクションを取るべきだと思いますか。
宮村:すべての業界で共通しているのは、これまで以上にユーザー動向を細かくウォッチしてリアルタイムで対応する体制作りです。
ヤフー内の話をすると、我々はコロナ禍のチェックポイントの1つとして「コロナが本格化する前後の検索キーワードの変化をしっかりチェックしましょう」 と、ヤフーの広告メニューをご利用いただいているマーケターの方へお伝えしています。
これまで以上に、広告のパフォーマンスに悪影響を及ぼしている検索キーワード、突如検索数が増加していて配信する価値の高い検索キーワードなどがどんどん入れ変わっていきます。まずは我々が提供しているパフォーマンスレポートなどをご覧いただき、検索キーワードの動向をウォッチして自社の現状を把握してほしいと思っています。
MZ:現在検索数が増えているか減っているかで対応も異なると思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。
宮村:ユーザーの数が増加している業界の企業は、流動的に変わるニーズを察知し、リードタイムを持たずにダイレクトに商材を提示していくことが重要です。
一方、マイナスになっている企業は、単に広告予算を削減するのではなく、ニーズが爆発したときに選ばれる状況を作り出す意識が重要だと思います。たとえば、旅行業界であれば、「今は旅行ができないけれど、規制が緩和されたらしたい」という需要は存在しています。先ほど、国内旅行の検索数は増加傾向にあるとお伝えしましたが、現在は「いつか旅行ができるようになるときのために調べよう」という、計画フェーズが続いていると考えられます。
計画フェーズが続き、抑え込まれていた需要の門が開いたとき、ユーザーの行動は即契約や購買などに移っていくと予測されます。その需要が顕在化するタイミングで「旅行に行くならどこに相談する?」となったときに“第一想起”が得られる状態を今の段階から仕込んでおくことが重要です。
今後はコロナ禍に対応した広告メニューを強化
MZ:コロナ禍の影響が、ヤフーのデータで非常に鮮明に映し出されているなと感じました。今後のアクションも参考になりますね。では、最後にヤフーの今後の展望を教えてください。
宮村:広告主に対しては、生活者の動きを把握するためのデータの価値がより一層高まっていますので、今後もマーケットの状況を可視化してマーケティングの支援に活かしていきたいです。
具体的には、2020年6月から新しい生活様式に対応した広告メニューとして「新生活ターゲティング」の提供を開始します。これは、新型コロナウイルスの影響で行動が変わったユーザーを細かなカテゴリでターゲティングができるようにしたものです。
また、今後の生活がどうなっていくのか不安を持っている生活者も多いと思うので、我々がプラットフォーマーとして正しい情報を届けていきたいと思っています。その一例として、企業と生活者がコミュニケーションのできる場をメディアとして提供することを目的に、4月にはおうち時間の過ごし方に関する特集ページを組み、企業とのタイアップコンテンツなども展開しました。
このように、ディスプレイ広告やリスティング広告(検索広告)などにとどまらない、様々な形でユーザーにとっても広告主にとっても良い広告メニューを今後も提供してまいります。