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BtoBマーケティングの開拓者たち

コロナショックを乗り越えるため、レガシー/ベンチャー企業は互いから学ぼう

デジタルマーケティングに取り組む前に必要な準備

 では、これからデジタルマーケティングに挑戦したい企業はどのように進めていけば良いのでしょうか。事前に行うべきことを紹介したいと思います。

1.リアルの世界も含めてデータ化し、共有する

 基本中の基本にもかかわらず意外とできていない企業が多いので要注意です。デジタル上で展開されるマーケティング活動については、自動的にデータが溜まっていきますが、リアルの世界(オフライン)をデータ化するのは意外と難しいのです。たとえば名刺、しっかりとデータ化して社内で共有できていますか? この程度であれば取り組んでいらっしゃるかもしれません。では、商談をした際にはBANT情報(Budget:予算、Authority:決裁権、Needs:ニーズ、Timeframe:導入時期)やネクストアクションを社内で共有し、いつでも必要な情報は取り出せるようになっていますか? ここまで書くと、さすがにすべて完璧にできているとは言い切れないのではないでしょうか? いきなり最初から完璧にやる必要はないのですが、営業活動やマーケティング活動で得た情報を紙でファイリングするのはNGですし、個人のPCで保管するのもNGです。特にレガシー企業では今でも“秘伝の手帳”や、キャビネットに収納された名刺ケースをベースに営業していることが多いので、デジタルマーケティングへ挑戦する前に、そしてDXの地盤作りのためにも、社内でデータが流れるよう、プロセスの標準化に取り組みましょう。

2.ターゲットを決めて、まずは実行してみる

 マーケティングには3C分析を代表とするフレームワークがありますが、現在の急激なマーケットの変化に際しては、正直なところじっくりと分析している時間はないと思います。分析をすればするほど安心感は得られますが、今必要なのは思い切って決断をし、新しい一歩を踏み出すことです。既存の製品や技術はそのままで、別の業界で販売ができないか徹底的に考えて、ターゲットを決めましょう。ポイントはスピード感を持って「決める」ことです。デジタルマーケティングは変更・修正が簡単にできますので、試してダメなら改善をしていけばいいのです。重要なのは分析をずっとして、時間切れにならないようにすること。早めに決断して行動をしましょう。

3.Webサイトを更新する

 自分がユーザーの立場で、自社のWebサイトを客観的に見たときに、問い合わせをしてみようと思うでしょうか? 引き合いを中心にするのなら現状のままでもいいかもしれませんが、新規見込み客を獲得できるようなデザインや情報設計ができているのかどうか、紙のパンフレットをインターネットに掲載しただけのような内容になっていないか、チェックしてください。デジタルマーケティングに取り組むイコール、ネット広告を始める、ということではありません。ネット広告を始めたとしても、広告をクリックした後にはWebサイトに遷移するわけですから、お客様が求めている情報がきちんと、わかりやすく伝わる形で用意しておきましょう。

変革の波はベンチャー企業にとっても脅威に!?

 ここまで、レガシー企業がこれまでデジタルマーケティングを必要としてこなかった背景、そして新型コロナウイルスの影響で変革が迫られる今、まずは何をすべきなのかをお話ししてきました。一方で、既にデジタルマーケティングに取り組んでいる方からすると、ごくごく基本的なことを書いてあるように感じられるかもしれません。しかし、デジタルマーケティングを得意とする企業が知らないような手法を、レガシー企業は持っています。たとえば、協議会を複数社で立ち上げ、ステークホルダーを集めて新規案件を創出する仕組み作り。商工会議所や地場有力企業へ積極的に足を運び知名度を上げる方法や、地域のスポーツチームのスポンサーとなって地域住民の信頼を獲得する方法、政治への働きかけや業界のルール作りなどもそうです。まだまだ書ききれませんが、ベンチャー企業がレガシー企業に学ぶべき手法はいくらでもあるはずです。

 逆に考えると、ベンチャー企業にとってこの状況は脅威となるかもしれません。というのも、デジタルマーケティングは奥は深いですが、テキストやWebサイトに情報はいくらでもありますし、「そこそこのレベル」であれば短時間で習得できます。逆に、人から人へ伝承されたノウハウや関係性はまさに「遺産」で、そう簡単に得ることはできません。そう、デジタルマーケティングは苦手としてきたものの、様々なノウハウをもったレガシー企業が、今オンラインの海へ乗り込んでこようとしています。

 最後に、これからデジタルマーケティングに取り組んでいく企業の方々へ。最初はHTMLやCSS、JavaScript、それからCMSやアドテクなど、慣れない単語がたくさん出てくると思います。しかし、既存顧客からの売上は減少していく中で新規リードが途絶えてしまうと、事業はシュリンクせざるを得ないので、背水の陣でまずは基本用語を一気に覚えてしまいましょう。そして、まずは勇気を出してPlanを立て、スピーディーに実行することが重要です。ご存じの通り、PDCAの“サイクル”を回すにはCheckが欠かせません。デジタルマーケティングは大量のデータ、それも細かい数字が大量に出てきますので、それらを分析する必要もあります。でも、大丈夫! 詳しくは次号でお伝えしますが、データに慣れるコツはありますし、重要なポイントだけしっかりと押さえれば、恐れる必要はありません。一緒にこの大変革を乗り越えましょう!

COLUMN 「自粛生活のささやかな楽しみ」

現在は新型コロナウイルス感染拡大にともない、自粛生活を送っており、外食に行けない日々が続いています。私はお酒が大好きなので、早くこの危機が過去のものとなることを願っています。そんな中、ささやかな楽しみを見出し気持ちを前向きにするため、いつか来る飲み会で語られる会話を想像しています。「いやー。コロナ大変だったよね。でも、コロナをキッカケに働き方ガラっと変わったよなー」「社員全員で一丸となって取り組めばDXも意外に簡単だったね」とか。自粛によって、ストレスも溜まるでしょうし、気持ちが晴れないことも多いと思います。そんなときに、アフターコロナの飲み会を妄想してみる、意外とおもしろいので是非試してみてください!

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この記事の著者

大里 紀雄(オオサト ノリオ)

スマートドライブ マーケティング/PR
大手Web制作会社にてチーフデータアナリストとして、DMPの構築および活用支援、広告運用の業務に従事。その後、マルケトにてシニアビジネスコンサルタントとしてマーケティングオートメーションツールの導入支援を行う。業種を問わず、大手企業から中小企業まで、コンサルティングを経験。現在...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/25 14:45 https://markezine.jp/article/detail/33665

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