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米国最新事情レポート『BICP MAD MAN Report』

Netflixは勝ち組なのか 未来のコスト上昇と新たな勝機

一時的なキャッシュリッチのその先

 物理的なディストリビューション経路を必要としない動画ビジネスであっても、新たなハードルが多数生まれている。たとえば、既に日本のテレビ局業界でも、ドラマ撮影現場は俳優やスタッフが3密を形成する典型であり、照明の影響で乾燥した室内のため、対応方法が決まるまで制作延期となっている。春シーズンのスポーツ中止も同様だ。

 この現象がNetflixの経営においては、「世界各国の制作市場」にて同時発生した。2020年4月のIR記者発表にてNetflixが公開した見地では、旧来の制作現場の基準での「有名セレブの海外渡航の計画」から、「撮影と編集のスタジオ」や「人的な資源(脇役タレント・場面ステージ・さらにはポストプロダクションなど)」までの交渉・目算が、すべて振り出しからの(ゼロからの)協議に戻されている。

 その一方で、制作費の支払いが先行していたNetflixのキャッシュフロー状況は、制作がストップしたために一時的に節約・好転した。サブスク申込者が増え、さらに制作支払いコストが減る発表があったため、Netflixの株価は「外出自粛」が始まった2〜3月よりも、4〜5月時期が上回り、史上最高値を更新した。

 だが、このNetflixのIR発表数字は、未来事業や未来価値の明るさの証ではない。実のところ、今後の「人気新作の見通しなく」、さらに「解約の数が今後増える」ボトムラインが迫っているのだ。

 筆者の身の回りでは、米国では3~5月の10週間で4,000万人もの失業者が、家賃の支払いもままならない状況下にある。巣ごもり需要を建前としたNetflixを筆頭としたオンラインサービスが収益を伸ばした初動報道とは、「本当か」と思うほどのギャップがある。

動画ビジネスの次の予兆は「新・教育」のカテゴリー

 オンライン動画の新たな勝機として、米国ニューヨーク州では5月5日にクオモ州知事が、(あの)メリンダ・ゲイツ財団と共同して「ニューノーマル:新常態における教育再創造」計画を策定と報道された。「行政の発表」「Microsoft」「教育」というオンラインの新しい成長の切り口だ。

 旧来の都市社会が持ち得た密集による「通達」「会議」「教室」「研修」などの情報ルートや方式から、「系統立てて」新・再構築する(旧都市の機能に依存しない)方向を、政府主導でこれから投資・後押しする証だろう。既存のNetflixが築いた「映像コンテンツ・ダウンロード」「オンラインPUSH配信」という枠組みを超えて、さらに「双方向」の新しい勝機が含まれるに違いない。

 たとえばZoomのような単なる接続システムを超えた「NEW」が発生する。GoogleやAppleはもちろん、Microsoftは親分プラットフォームとして、「NEW」複合サービスを提供することになる。現在はまだ復興へのトンネル中での模索だが、その先にあるはずの「5G」や「IoT」の次世代インフラすら「必要としない」「待たない」、先手の動きとして注目したい。

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この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2020/06/25 15:15 https://markezine.jp/article/detail/33667

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