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フォロワーゼロから爆発的再生回数を連発!カルビー「サッポロポテト」のTikTok活用術

 本記事では、TikTok内外で話題を呼んだカルビーのスナック菓子ブランド「サッポロポテト」のレシピ動画施策について、同ブランドのマーケティングを担当しているカルビーの河内麻由子氏、レシピ動画の企画・制作を支援したトピカの石川怜氏と戸村亮太氏、そしてTikTok For Business Japanの井口祐美子氏にインタビューを実施。取材を通じて、企業がTikTokを活用して生活者にブランドの理解・関心を深める方法が明らかになった。

ブランドの更なる接点拡大を目指してTikTokを活用

MarkeZine編集部(以下、MZ):カルビーのサッポロポテトがTikTok活用を始めた背景、狙いについて教えてください。

河内:「サッポロポテト」ブランドでは2019年よりSNS上のコミュニケーションを強化しており、TikTok活用もその一環となっております。

 2019年にプロモーションがきっかけでTwitterの公式アカウントを開設し、双方向でのコミュニケーションができるチャネルとして継続的に運用しております。そして、ブランドの更なる接点拡大を目指して進化し続けている媒体であるTikTokでもコミュニケーション接点を設けようと決め、2020年4月に公式アカウントを立ち上げました。

カルビー株式会社 マーケティング本部 商品4部 2課 河内麻由子氏
カルビー株式会社 マーケティング本部 商品2部2課 課長 河内 麻由子氏

MZ:様々なプラットフォームがある中で、なぜTikTokなのでしょうか。

河内:2つあり、1つはZ世代も取り込んでいきたいからです。ロングセラーブランドとして、高い認知はある一方で次の世代へのアプローチはブランド育成の観点から重要になります。TikTokは幅広い世代に使われるプラットフォームでありながら、Z世代にも強く多くの方へのアプローチができることから選択しました。

 もう1つは、「楽しい」というブランドのキャラクターを出していきたいためです。サッポロポテトは「つぶつぶベジタブル」と「バーべQあじ」の2つのサブブランドから構成されており、形状もフレーバーも違うというユニークなブランド特性を持っています。

 TikTokも、ユーザーに楽しんでもらえるコンテンツがたくさん上がっており、おいしさのみならず「楽しい」というイメージを持ってもらうプラットフォームとしては最適だと考えました。

MZ:TikTok For Business Japanの井口さんにお聞きしますが、河内さんの話していたような目的でTikTokを活用する企業は増えているのでしょうか。

井口:TikTokは楽しくポジティブなイメージが持たれやすいプラットフォームだと思います。出稿いただく広告を見ても、ユーザーに楽しんでもらえるコンテンツであることを重視して制作されているケースが多いです。

 現在は、企業がアカウントを開設して継続して発信している事例はまだ少ない状況で、その中でカルビー様にはトピカ様とご一緒に継続的にコミュニケーションを取る施策を展開いただきました。

TikTok Ads Brand Advertising-Client Partnerships 井口 祐美子氏
TikTok For Business Japan Brand Advertising-Client Partnerships 井口 祐美子氏

カルビー×トピカが仕掛けた、TikTokで刺さるコンテンツとは?

MZ:ではここから、TikTokアカウント運用についておうかがいします。今回なぜトピカと一緒の取り組みなのでしょうか。

石川:我々がTikTokにおけるレシピ動画の心得を理解しているためです。トピカでは男性向けの料理動画メディア『GOHAN』を運営しており、様々なプラットフォームで多くのフォロワーを獲得してきました。

 中でも現在TikTokの運用に舵を切っており、フォロワー数は20万を超えています。数値をもとにしたクリエイティブ制作と運用で、様々な企業様のお手伝いをさせていただいております。

株式会社トピカ 石川 怜氏
株式会社トピカ 事業部 責任者 石川 怜氏

MZ:トピカさんの持つ、TikTok上でのレシピコンテンツの企画・制作力が評価されたのですね。戸村さんが今回企画・制作を担当したとのことですが、どのようなコンテンツを目指していたのでしょうか。

戸村:サッポロポテトのアカウントでは、先ほど出てきた2つのサブブランドの商品を使ったレシピを考案し動画にして投稿しています。その中で意識しているのは、スナック菓子らしさを活かしたコミュニケーションを生み出すことです。

 TikTokでは、他のユーザーの投稿を真似して楽しむmeme(ミーム)文化があるため、サッポロポテトを使って思わず作りたくなるような動画を目指しました。

株式会社トピカ 運営部 戸村 亮太氏
株式会社トピカ 運営部 戸村 亮太氏

MZ:これまで、サッポロポテトに関するレシピ動画を他のプラットフォームを含め投稿したことはありましたか。

河内:いえ、サッポロポテトを使った公式レシピとして対外的に出すのは初めての試みだったので、トピカさんのお力を借りながら、ユーザーの反応やトレンドも鑑みながら挑戦しているところです。TikTokの中での需要や商品特徴のバランスを取り、商品の訴求が強くなりすぎず、真似したくなるのはもちろん、見ているだけでも楽しんでもらえるような動画作りを意識しています。

MZ:TikTok上で情報を広げていくために運用上気にしている点はありますか。

戸村:企画・制作・プラットフォーム攻略の3点で意識しているポイントがあります。

 1つ目の企画では、味×カテゴリーを重点的にPDCAを回していく方針を打ち立て、数値分析をしながらコンテンツ内容を考えています。

 2つ目の制作に関しては、離脱されにくくするための動画構成を工夫しております。自社で運営しているGOHANの中で既に知見がたまっていたので、さらに応用をしていきました。

 3つ目のプラットフォーム攻略においては、TikTokのプラットフォームの特徴を把握した上で、それを意識した動画構成にしております。

フォロワーゼロでも爆発的な拡散が可能に

MZ:TikTok For Business Japanの井口さんから見て、サッポロポテトの動画のいいところはどこにありますか。

井口:お菓子を使ったレシピコンテンツという意外性を持たせつつ、動画の良さでもあるシズる感が出ており素晴らしいと思いました。また、コメント欄でユーザーと双方向性のあるコミュニケーションもされていたので非常に効果的な運用だと思いました。

MZ:ちなみに、公式アカウントを立ち上げたことによって、どのようなメリットが得られているのでしょうか。

井口:企業対個人でコミュニケーションができることに加えて、立ち上げ時からコンテンツ次第で拡散する可能性がある点ですね。これまでは最初にキャンペーンなどでフォロワー数を増やし、そこからフォロワーやハッシュタグを起点に拡散するコンテンツを出していくのが定石だと考えられてきました。

 TikTokはコンテンツ優位のプラットフォームです。機械学習をもとにおすすめの動画がユーザーに表示されるため、ユーザーに刺さるコンテンツを届ければフォロワーが少ない立ち上げ期からでも爆発的に拡散させることができます。今回のサッポロポテトに関しても、レシピそのものや音楽をきっかけに商品に興味を持ってもらい、マインドシェアを高める動画投稿を展開することができました。

 さらに、TikTokでは、いいねやコメントを含めたエンゲージメントが活発で、他のプラットフォームへのシェアが起きやすい強みを持っています。企業アカウントを立ち上げたことで、TikTokらしさを活かしたコミュニケーションがより展開しやすかったと考えています。

初投稿の動画が100万再生超え

MZ:今回の施策によって、どのような成果が得られましたか。

河内:TikTokを始めて以降、早い段階から多くの再生数が集まる動画を投稿することができたのは非常に良かったと思います。最初のいももちのレシピ動画は1週間で100万再生を超え6万5,000近くのいいねも集まりました。

@calbeesapporo

好きなじゃがいも料理を教えてね#カルビー ##サッポロポテト ##いももち ##今日何食べた

Canção da piscada - Sound Effect

 また、他のプラットフォームなどでも、TikTokで紹介したレシピを作ってみた系のUGCが多く生まれており、その反響もありテレビの情報番組で紹介いただくなど、想像以上に広い層にアプローチできた施策になりました。

MZ:TikTokの動画をきっかけにテレビ番組でのパブリシティにまでつながったのは素晴らしいですね。

河内:サッポロポテトを小さいころに食べたことがある方は多いと思うのですが、年齢を重ねるとともにスナックの選択肢は増えていきます。そうなると、特定のスナック菓子を継続的に買ってもらうことのハードルは自ずと高くなります。

 その中で、認知だけでなく「おいしそう、楽しそう、試したい」といった感情をサッポロポテトのブランドに対して持ってもらえたのは非常に大きな成果だと思います。

心理的な距離を近づけるならTikTok

MZ:では最後に今後の展望を教えてください。

河内:これまで、サッポロポテトは「安全」「安心」「ファミリー」といったイメージの強いブランドでした。今後もそういった要素は維持しながら、時代に寄り添ったブランドであり続けるためにコミュニケーションも時流に合わせて展開していきたいと考えています。

 パーセプションを変化させるのには時間がかかりますので、今回軌道に乗り始めているTikTok運用を継続しながら、見る方に飽きさせないコンテンツを出し続けて、従来よりも強いブランドにしていきたいと思います。

MZ:トピカの石川さんと戸村さんはいかがでしょうか。

石川:弊社は様々なプラットフォームでアカウントを運用してきましたが、TikTokはユーザーとの心理的な距離が非常に近いと思っています。ですので、ブランドに親しみを持ってもらうといった目的のマーケティング施策には非常に向いているプラットフォームだと思っています。

 TikTokは今後もユーザー層は広がっていくと思いますし、よりマーケティングチャネルとしての可能性は広がっていくと思いますので、「SNS」×「動画」という時代を先行するプラットフォームでのノウハウの蓄積と提供を行っていきたいと考えています。

戸村:カルビー様の運用目的にマッチしつつ、TikTokのコンテンツからより「楽しさ」を伝えられるような仕掛けづくりを一緒に取り組めたらと考えています。また、現在はカテゴリー別にどのコンテンツが効くかを検証していますが、今後新たな効果検証の軸を増やしていければと考えています。

MZ:ありがとうございました。最後にTikTok For Business Japanの井口さんから、今後企業アカウントの立ち上げを検討されるマーケターに一言アドバイスがあればお願いします。

井口:TikTokに対し「動画を考えるの大変でしょ」といったイメージをマーケターの方はお持ちだと思うんですが、今回の施策で幅広い方にリーチできること、またコンテンツを企画・制作しやすくなっていることが明らかになったと思います。

 そして、TikTokの運用ではトライアンドエラーが非常に重要です。想定通りに拡散する・しないことが起きるプラットフォームですので、そのトライアンドエラーを楽しんでもらえる企業様はぜひ一緒にTikTokでユーザーに受け入れられるコンテンツを作って伸ばしていけたらと考えています。

TikTokのマーケティング活用に関するすべてがここに!

 TikTok For Business Japanでは、マーケターの皆さまに向けてTikTok For Businessのプロダクトの詳細や企業事例などを特設サイトにまとめています。カルビー様の事例を通じて「TikTokでどういうことができるんだろう?」と思われた方はぜひこちらのサイトもご覧ください! 詳細はこちら

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/07/28 17:18 https://markezine.jp/article/detail/33720