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博報堂ヒット習慣メーカーズの中川悠と探る、マーケティングに必要な習慣化の秘訣

「プレバト!!」「初耳学」生みの親が語る、習慣化するコンテンツの秘訣【博報堂中川氏×毎日放送水野氏】


 本記事では、4月25日に『カイタイ新書 -何度も「買いたい」仕組みのつくり方-』を刊行した博報堂 ヒット習慣メーカーズの中川悠氏が、毎日放送のプロデューサーで、放送人グランプリ企画賞を受賞した「プレバト!!」など数多くのテレビ番組制作に携わる水野雅之氏と対談。その中では、習慣化されるコンテンツの秘訣が明らかになった。

視聴率を人×時間で分解して考える

中川:前回はインサイト・ピークスの米田さんと習慣化について議論しました(過去記事はこちら)。今回も『カイタイ新書 -何度も「買いたい」仕組みのつくり方-』で書いている習慣化について、毎日放送のプロデューサーである水野さんとコンテンツの目線から対談したいと思います。

 まず、水野さんの自己紹介からお願いできますか。

左:博報堂 ヒット習慣メーカーズ リーダー 中川 悠氏
右:毎日放送 プロデューサー・ディレクター 水野 雅之氏

水野:TBS系列の毎日放送で木曜19時「プレバト!!」の総合演出など、全国ネット番組を制作しています。

中川:水野さんは現在の毎日放送のゴールデン帯の番組を数多く手がけられていらっしゃいますよね?

水野:そうですね。現在、毎日放送が制作しているゴールデン・プライム帯の番組は私が考えました。「プレバト!!」はもうすぐ8年。「林先生の初耳学」は6年目に入りましたし、「教えてもらう前と後」はもうすぐ3年。3番組とも私が起案した企画です。

中川:そんな、地上波テレビで数々のヒットコンテンツを生み出してきた水野さんですが、どのように飽きさせない、長く見てもらうための工夫をしてきましたか。

水野:ヒットしたかどうかの指標はやはり番組の平均視聴率なんですけど、実は高視聴率の獲り方って2通りあるんです。1つはより多くの人に見てもらう方法。もう1つはより長く番組を見てもらう方法です。

 たとえば、視聴者サンプルが1,000人で100分の番組を作った場合、1,000人全員が見てくれたけど、番組のクオリティがイマイチで、全員が5分しか見てくれなかったら、番組の平均視聴率は5%しかありません。でも、見てくれた人は5分の1の200人でも、その人たちが30分見てくれたら平均視聴率は10%になるんです。

 高視聴率の番組って、多くの人が見たというイメージが強いんですけど、実は長時間見てもらうことも重要になっています。そのためには視聴者を飽きさせないように工夫して、番組を毎週見てくれる習慣を持つファンになってもらうことが大切なんです。

中川:それは水野さん特有の考え方なんですか。それとも、他のプロデューサーも含めて共通した考え方なんですか。

水野:番組が始まって、試行錯誤していく中で確信に変わっていきました。たとえば、「プレバト!!」って平均世帯視聴率が12%を超えているんですけど、才能ランキングを始めたときの視聴率は7~8%くらいだったんです。もちろん、その視聴率は合格点には程遠いんですけど、実はそのときからすでに視聴時間がとても長いという結果が出ていました。

 ということは、番組の内容は間違っていないはず。裏には「VS嵐」や「いきなり!黄金伝説。」など人気番組があったので、「プレバト!!」の認知度が低いだけなのでは? と思っていました。だから番組を認知してもらうために、旬なタレントさんに出演してもらいました。Kis-My-Ft2などの出演をきっかけに視聴人数も増えて、結果的に平均視聴率が上がっていきました。

中川:水野さんとしては、まずは視聴人数よりも視聴時間を増やすことが大切だと確信したんですね。

水野:そうですね。視聴時間の長い番組は、習慣化しているってことだから、裏番組が強くても簡単には視聴者は離れませんしね。サッカーのワールドカップの最終予選が裏番組だったときも、同時間帯の視聴率が1位でしたし。

コンテンツは「情」と「報」のバランスでできている

中川:おもしろいですね。マーケティングでもその人が買い続けてもらったり1回あたりの単価を上げたりしてLTV(Life Time Value)を上げることが重要になっています。コンテンツを作る人にとって、LTVにあたるのは、視聴時間になるんですね。

 水野さんは長期的に見てもらう番組作りを大事にされているとのことですが、いつも心がけているコツはありますか。

水野:テレビ番組のコンテンツって情報性があるんですけど、情報という言葉を「情」と「報」に分けて考えています。「情」は簡単に言えば心です。「くだらねぇ」ってただ笑える番組は「情」の比率が高いと言えます。一方で、「報」はニュース。淡々とした報道番組は「報」の比率が高いです。

 私の頭の中には0から100のバロメーターがあって、「情」と「報」のバランスをどの辺で取るかを、毎回微調整しています。

水野:また、これは放送するエリアや、放送する時期によってベストなポジションが変わります。たとえば、関西ローカルの番組は、笑いなど「情」に比重を置きます。40くらいの地点でも多くの視聴者に見てもらえるんですけど、関東ではそれが通用しません。「報」の比率を高めたほうが視聴率は確実に上がります。私の感覚では80の地点くらいかな。関東の人たちは、「タメになる情報か」を即座に判断しちゃう傾向があります。きっと忙しいんです(笑)。

中川:なるほど。確かに関西発の番組って「情」の比重が大きいですもんね。

水野:いや、たとえば「ミヤネ屋」は関西の番組ではだいぶ「報」寄りですよ。関西ローカルの情報番組は、もっと「情」だらけです。

 あと、「情」と「報」のバランスは、社会情勢でも変わります。新型コロナウイルスの脅威にさらされている今は、視聴者は「情」に比重を置いたコンテンツを見たがっています。ネタ番組や理屈なく笑えるバラエティ番組の視聴率が明らかに高くなっているんですけど、これは3.11のときも同様の傾向が見られました。つまり、せっかく多くのファンを獲得した番組を作れても、「情」と「報」のバランスを絶えず微調整しないと、視聴者のニーズから外れてしまうんです。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/03 16:33 https://markezine.jp/article/detail/33822

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